「すぐに大学病院に行ってください。予約をしておきますから」

 事態の深刻さがわかっていない私が「ご飯を食べてからでもいいですか?」と聞くと、「いますぐ行ってください!」と先生から叱られました。さぞかし呆れたのでしょうね。

 大学病院に着いた時点で外来の受付時間は終了。でも、眼科の先生があらかじめ電話を入れてくださったおかげで、すぐに対応してもらえました。

 若い先生から渡されたA4サイズの紙には大きな文字で「後頭部が痛いですか?」など、いくつかの質問が書かれていました。他の質問は覚えていませんが、後頭部は確かに痛かった。

「MRI(核磁気共鳴画像法)を撮りましょう」と言われて、コウスケとふたりで待っていると義母が来てくれました。旦那のお母さんです。近所の眼科の先生から「大学病院に行ってください」と言われた時点で電話をかけておいたのですが、すぐ来てくれて本当にありがたかった。これで子どもたちは、とりあえず家に帰ることができます。娘のいる保育園の名前や場所を説明しようとすると、義母は優しく言ってくれました。

「大丈夫よ。保育園の場所はお兄ちゃんが知っているでしょ? お迎えに行ってふたりに何か食べさせてからあなたの家に帰るから心配しないで。都合がいい時に連絡してちょうだい」

 テキパキしているお義母さんにおまかせすれば安心だとホッとしました。

 まもなく、私は生まれて初めてMRIを撮りました。読者の皆さんも、テレビで見たことがあるかもしれませんね。強い磁石を使う大きな装置で、身体を輪切りにした映像を撮るのです。

 まず横になり、頭にヘルメットみたいなものを装着。撮影中、大きな機械音がするので耳栓をします。気分が悪くなった場合に備えて緊急コールのブザーを持たされて準備完了。やがて私は、装置の中にするするっと自動で吸い込まれていきました。まるでサンダーバードに乗り込む時のようです。でも、作動している間中、ビービー、カンカン、隣で新築工事をしているみたいな音がずっと響いていて、とにかくうるさい。20~30分くらいだったでしょうか。

2023.03.13(月)
文=清水ちなみ