ブルース・リウがピアノを弾く2つの“理由”

――今後、世界のオーケストラや指揮者と共演する機会が多くあると思いますが、楽しみにしていることはありますか?

 最近、弾き振りにも関心があって、指揮の勉強をはじめたのです。そのため指揮者とご一緒するとき、チャンスがあればレッスンを受けられたらと思っていて、それが楽しみですね! 勉強し続けることで、新しい視野が拓けていきます。

――ピアニストの道は簡単ではないとおっしゃっていましたが、それでも演奏を続ける理由はなんですか? ご自身にとって、ピアノを弾くことにはどんな意味がありますか?

 二つの意味があります。一つは自分のため、もう一つは聴いてくれる誰かのため。

 ピアノを弾くことで、この騒がしい世の中、現実から数時間離れて自分だけの空間や世界を持てるのはとても素敵なことです。そして作品からいろいろなストーリーを読み、世界のいろいろな人の人生について知ることができるのも楽しいですね。

 そしてそれをコンサートで演奏することにより、自分も知りたいと思っている誰かに伝えることができる。やっぱりこれが、ピアノを弾く意味ですね。

 とはいえ、コンサートに行く目的はみんな違います。ある人は何かを学びたくて来ているかもしれない、音楽はわからないけれど仕事や人生の何かのきっかけになるかもしれないと思って来る人もいるかもしれない、一部の人は、ただ僕を見に来ているのかもしれない(笑)。

 でも、こうした多様性があるのはとてもいいことだと思います。僕が伝えようとしているストーリーを、それぞれの人が違うように理解して持ち帰る。それこそが、お互いを分かり合うための終わりのないプロセスであり、生きているということだと思います。

ブルース・リウ

1997年生まれ。中国人の両親の元、フランスのパリで生まれ、6歳で父親と共にカナダへ移住。2021年の第18回ショパン国際ピアノコンクールで優勝し世界の注目を集めた。コンクールでの成功後、直ちに世界ツアーを開始し、パリのシャンゼリゼ劇場、ウィーン・コンツェルトハウス、ブリュッセルのボザール、東京オペラシティ、サラ・サンパウロ、フィルハーモニア管弦楽団との共演でロイヤル・フェスティバル・ホールに出演。またワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団とアメリカツアーを行い、ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団、ポーランド国立放送交響楽団、NHK交響楽団、ソウル・フィルハーモニー管弦楽団とも共演。

<商品情報>
ブルース・リウ『ブルース・リウ 第18回ショパン・コンクール優勝者ライヴ』

価格 3,080円(税込) 品番UCCG-1890
発売中
https://classic.lnk.to/chopin_bruceliu

<公演日程>
ブルース・リウ ピアノ・リサイタル
2/18(土) 広島 広島上野学園ホール
2/19(日) 札幌 札幌コンサートホールKitara
2/21(火) 川崎 ミューザ川崎シンフォニーホール
2/24(金) 東京 東京オペラシティ コンサートホール
2/25(土) 名古屋 愛知県芸術劇場 コンサートホール
2/26(日) 水戸 ザ・ヒロサワ・シティ会館
3/1(水)  大阪 ザ・シンフォニーホール
3/2(木)  福岡 アクロス福岡 福岡シンフォニーホール
詳細はこちら ⇒ https://www.japanarts.co.jp/concert/p994/

2023.01.31(火)
文=高坂はる香
撮影=佐藤 亘