北欧の「サマーハウス」にならった、小屋のようなキャビン

 「別荘」と聞くと日本では豪奢な建物が連想されますが、ヨーロッパやカナダでは一般的な「サマーハウス」(夏の間に過ごす別荘)は、質素なデザインで広さも20平米から60平米前後のものが中心。SANUのキャビンも約50平米のワンルームで、大人2人ぐらいがぴったりな、ミニマルなサイズ感です(最大4名まで宿泊可能)。岩手県・釜石地方森林組合の木材をふんだんに使用した小屋のような設計は、室内にいても自然に抱かれているような、安らぎを与えてくれます。

「木材はすべて国産の間伐材で、樹齢50~70年のものとなります。樹齢50年を超えると二酸化炭素の吸収よりも排出量が増すため、そのような木々を建築に使い、使った分は植樹することで、森に返す取り組みも行っています。実際に昨日、社員みんなと釜石の森に足を運んで、植樹を行ってきました」(同前)

 さらに、プラモデルのように組立て・分解できる構造のため、建物の一部を交換しながら維持管理を行なったり、すみやかに解体して別の場所に再建築することも可能。スクラップ&ビルド型の従来の建築とは一線を画す設計です。

2022.10.30(日)
文=CREA編集部
写真=平松市聖