ふたりの意外な共通点が発覚

つづ井 私は、自分が描いているものは絵日記だと思っているんですが、日常で起きたことのなかでも「楽しいことを抽出して描く」と意識しています。同じ匂いを感じていただいたとしたら、ものすごく光栄です。

和山 実は、私も一時期、つづ井さんと同じようにお尻を愛でていたことがあるんです。

つづ井 そこが一緒!? 私はペットが飼えない部屋に一人暮らししていたときに、何かを慈しみたいなという気持ちを、自分のお尻に向けたんですが……。

和山 私はあるときふと「見落としてたな」って気づいて、他の体のパーツと同じくらいお尻を大切にしようと思ったんです。四六時中気にかけているわけではないんですが、思い出したらお尻を愛でています。

つづ井 和山さんに愛でてもらえるなんて、幸せなお尻です。和山先生の作品は、おっきな声で誰かがふざけたりとかめちゃくちゃな事件が起きたりしなくても、笑えるし面白い。さっきのプレゼンでは「まじめな人間の誠実なおかしみ」と表現してみたんですが、『女の園の星』の生徒の女の子たちはみんな黒髪で、制服を着崩していない。そういう子たちがちょっとヘンなことをやるから、より面白く感じるんですよね。

和山 普通に描いていただけなんですけど、それがいいんだって初めて気づきました。これからも着崩させずに描きます(笑)。

つづ井 空気感がすごくリアルなんですよ。ただ単に女の子が集まっただけの空気感じゃなくて、たまたまその1年を同じ教室で過ごすことになった同級生の女の子たちだけが持っている空気感が描かれているんです。

和山 私自身は女子校ではなかったんですが、女子校に行っていた方に話を伺ってみたら、共学の教室の中で女子たちが集まっている感じとそんなに変わりはないなと思って。当時のことを思い出しながら描いています。ただ、うっかりミスも結構あるんです。生徒のセリフで「写メ」って言葉を使ってたら、「今の高校生は使わないよ」と言われてしまって、昔の自分の感覚だけで描いちゃダメなんだと反省しました。

つづ井 写メ、ダメか〜。何って言うんですか?

和山 写真。

つづ井 写真か〜!

和山 つづ井さんのマンガに出てくる、つづ井さんを含めた5人はみなさん、楽しい方たちですよね。私にはこういう友達は一人もいないので、読んでいるとうらやましすぎて、ちょっと悲しくもなる時があります(笑)。

『裸一貫! つづ井さん』つづ井

自分(たち)を楽しませるのは自分(たち)しかいない!「魂がオタク」なアラサー女子・つづ井さんと前世からの友人たちによる、波瀾万丈な身辺雑記。CREA WEBで連載中。
文藝春秋 1,045円 既刊4巻

2022.09.18(日)
Text=Daisuke Yoshida
Photographs=Asami Enomoto

CREA 2022年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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