うちの子ベストショット③

「おかえり。遊んでくれたまえ」

――芸人になる前は、ドッグトレーナーの専門学校に通っていたそうですね。

 最初に話したように母の影響で動物が好きだったので、最初は飼育員になりたかったんです。大人になるにつれて、飼育員は狭き門でなかなか募集がかからない職種だと知ったんですけど、やっぱり動物系の仕事に就きたかったので、看護師とかトリマーとか現実的に動物と関われる仕事を探して、トレーナーを選びました。

――どんなことを学ぶんですか?

 私たちの入学と同時に、11頭の子犬が入ってきて。2年間、4人に1匹の担当犬を育てながらトレーナーとして必要なことを学ぶんです。トレーナーってしつける仕事なので、トイレを教えたり、一緒に遊んだり、散歩のルールを学んだり。担当犬はしつけができている分、暴れることがないので、一般の方からわんちゃんをお借りして、シャンプーのやり方を学ぶこともありました。

 あとは週に2回、終日、実習の日があって、その日は散歩ばっかり。山に行ったり、合宿もあって……あの頃は体力がありました(笑)。ほかにも、看護やトリミングの仕方などいろんなことを学びました。

――それで、ドッグトレーナーの資格みたいなものが取得できると。

 卒業試験みたいなものがあって、受かれば自動的に取れるんです。卒業後はしつけ系の仕事に就こうと思って、インターンでCMやドラマに出演するタレント動物の会社へ行ったんですけど……なんかちょっと違うなって感覚的に思っちゃって。で、本当にやりたいことをやろうと思って、NSCに入って芸人になったんです。

――そうだったんですね。学びの中で、改めて動物について感じたことはありますか?

 動物に関わる仕事は、やっぱり大変なことが多いですよね。朝は早いし、夜は遅い。担当犬には朝担当と夜担当がそれぞれつくんですけど、(犬が1頭で)学校にいる時間がなるべく少ないほうがいいだろうと思って遅くまで学校に残ったりと、なるべくその子のために動いていたところはあった気がします。それまでも実家で動物と暮らしてましたけど、あの2年間で動物への責任感が生まれた気はしますね。

うちの子ベストショット④

「遊んだあとはおやすみなさい」

――あと、誠さんがSNSに「相方(愛さん)はキャットスペシャリストの資格を持っています!」と書いていたのが気になりました。

 うふふ……それ、すごく言うんですよねぇ。本当に持ってはいるんですけど、専門学校の猫の授業で必然的に取れたというだけなんです。相方は好きなだけなんですよ、「キャットスペシャリスト」っていう響きが。だから、ふざけて書いてるんです。

――(笑)。かぼすくんとの生活に、持っている資格が活かされることはありますか?

 あるかなぁ? 感情を理解できてるところは、役に立っているのかもしれないですね。猫って腰を低くしてたり、しっぽを下げたりしてるときは不安なんです。最近、引っ越したんですけど、かぼすも不安だったみたいで。慣れるまで時間かかるのかなと思っていたら、すぐなじんだので安心しました。あと、猫って急なことにびっくりするじゃないですか。そういうときは「大丈夫だよ」って優しく声をかけるようにしてます。

2022.06.21(火)
文=高本亜紀
撮影=今井知佑
写真=愛