つづ井さん推しエピソード③「ぼる塾4人の友情とつづ井さんの描く友情が似ている」

――著書を読ませていただいて、つづ井さんとお友達の関係性とぼる塾さん4人の関係性って、すごく似ているように感じました。

 図々しいかなと思いながらも、私もそう感じています。つづ井さんのマンガに、公園へ行った時に全力で楽しむお話がありますけど、大人の女性が仲間内でわいわいと楽しんでいられるのって最高じゃないですか。

 女同士の友情って、仲がよくないとかマイナスなイメージで描かれることが多いなと常日頃感じていて。なんで陰口や悪口を言い合っているようなイメージを持たれてしまうんだろう? ただ楽しく仲よくしているだけなのになって、ずっと思っていたんです。

 だから、私が思っている女性同士の友情を100%で描いてくださっているのも、つづ井さんが大好きな要素の1つですね。しかも、こうあるべきだと、決して押し付けないところがまた素敵で。

――つづ井さんもそのお友達も、愛情の深さをものすごく感じますよね。

 そうなんです。お友達もみなさん、つづ井さんのことを大好きですし、つづ井さんもお友達のことを大好きなんだなっていうのが、マンガを読んでいると伝わってくるんですよね。

――ぼる塾さんも、まさにそういう関係性なんじゃないですか?

 田辺さんが「まず自分が楽しくないと、周りにも本当の意味では優しくできない」とよく言ってるんですけど、まさにその通りだなって。私は元々すごくネガティブで、自己肯定感もものすごく低かったんです。

 吉本の養成所に入ったのも、少しでも明るくなれたらと思ったからなんですけど、その養成所で出会った田辺さんが私の性格をいい方向へ持っていってくれたといいますか。

――養成所に入る前に勤めていた会社が、かなりブラックだったそうですね。

 そこで、メンタルをだいぶやられちゃいまして。どうせ私は役立たずだとか使えない人間なんだとか、なんでもマイナスから考えるようになっちゃってたんです。けど、例えば「友達がいない」って言うと、田辺さんが「じゃあ、私はどうなるの? 私は酒寄さんのことを友達だと思っているよ」って。

 「酒寄さんはいっぱい友達いるよ」っていう大げさな嘘をつかないところは田辺さんらしいなと思うんですけど(笑)、「友達がいないんじゃなくて、少ないって言って。だって、私は友達なんだから」って言ってくれたんです。

 「私といるメリットはないよね」みたいなことを言った時も、「メリットが欲しくて、酒寄さんと一緒にいるわけじゃないわよ。一緒にいたいからいるだけなんだから、そういうことを言わないで」って。そのあと、「まぁ、ネタを書いてくれてるからね!」とか付け足して、あくまでもきれいごとにならないように言ってくれたんです。

――押しつけるようなことは一切言わなかったと。

 気を遣って言っているわけではなく、本心から言ってくれていることがわかりました。その後も、「少なくとも私は酒寄さんを必要としてるからね」ってずっと言い続けてくれたんです。1人の人にこんなに必要とされてるんだと実感できたことで、私なんてっていう気持ちはどんどんなくなっていきました。

 だから、田辺さんと出会ってなかったらどうなっていたんだろうと思います。お互い、コンビを組んでなかったら養成所もすぐ辞めているタイプだったと思うので、田辺さんと出会えて、本当によかったです。

――田辺さんとのコンビ「猫塾」を結成してからは、どういうモチベーションで活動されていたんですか?

 田辺さんがすごく面白い人だということに早くから気づいていたので、芸人として自分が売れるというより、田辺さんが売れるというか、表舞台に立てるようにするのが自分の役割だと思いながら続けていました。


 「若手なのに体張る仕事NGにして大丈夫なの?」と思ったことも。人気急上昇したぼる塾の活躍を裏方として支えて気づいたこととは。インタビュー後篇に続く。

酒寄希望(さかより・のぞみ)

1988年4月16日生まれ、東京都出身。2012年5月に田辺智加とお笑いコンビ・猫塾を結成。19年7月、男の子を出産。19年12月に田辺智加とお笑いコンビ・しんぼるのきりやはるか、あんりとお笑いカルテット・ぼる塾を結成。育休中の現在は、ネタ作りやYouTubeのナレーションなどを担当している。

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2022.02.11(金)
文=高本亜紀
撮影=鈴木七絵