24歳の“遅咲き”から現在の活躍に至るまで

 「真犯人フラグ」での怪演が話題の桜井ユキさん。初めて仕事でお芝居をしたのは、10年前の24歳だという。

 10代から活動を開始している俳優が多いなか、彼女のキャリアのスタートは異例と言えるほど遅い。

 けれど、社会経験ができた4〜5年は「ムダじゃなかった」と断言する。

 女優になりたいという夢を抱いた小学3年生から、高校時代に何度も繰り返した親との攻防、そして、念願の上京を果たすまで――。

 俳優・桜井ユキが生まれ、今に至るまでの奮闘に迫ります。

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24歳でのデビューは、ベストなタイミングだった

――俳優になるまでの経緯を教えてください。

 中学生のときに親に内緒で福岡の芸能事務所に応募したことがあるんです。書類審査が受かったと電話が来たときに「ちょっとお母さんは忙しいんで……」と嘘をついて、電車に乗って一人で面接に行きました。でもさすがに契約するには親のサインが要ると言われ、親に電話がいったことですべてがバレました。親には「高校を卒業するまでは我慢しろ」と言われましたね。

 その後、高校時代に“ミス○○”に選ばれたとき、雑誌を見てくれた東京の事務所の方が連絡してくださったことがあったんです。またこっそり面接に行こうと思ったのですが、さすがに一人で東京には行けないなと思って、親に「……ダメですか?」と聞いてみたものの、やっぱり「高校を卒業するまでは我慢しろ」と言われてしまい、玉砕。本当にそのやりとりを何回も何回も繰り返していました。

――俳優になりたいと思ったそもそものキッカケは?

 あるとき「なる!」って思った瞬間があって。小学校3年生だったんですが、確か卒業文集にも書きました。別にドラマをすごく見ていたとか、映画が好きだったとか、好きな俳優さんがいたというわけではないんです。突然に近いですね。そのことを親にずっと言っていたら、途中からならなきゃいけない気持ちになっていきました。

――その後、23歳で上京することになったのは?

 高校卒業間際も芸能事務所に所属するチャンスはあったのですが、色々なことがあって断念。結局、就職して福岡市内で働いていました。

 でも高校を卒業するときにお声がけくださった方がずっと覚えてくれていて。23歳のときにご縁があって再度連絡をしたら、「一緒にやらないか」と言ってくださったんです。そのときはさすがに年齢的な焦りもありましたし、「今出ないともうチャンスはないな」と思い上京を決めました。

 スタートはすごく遅いですが、今思い返すと高校を卒業してからの時間は貴重だったと思うんです。飲食店で働いていましたが、とても厳しく指導していただきまして。おかげでマナーやお金を稼ぐことの厳しさなど、色々と教えられました。

 きっとそれ以前に役者を始めていたとしても使い物にならなかったと思うんです。だって、役者を目指しているのに芝居も見たことがないなんてナメきってるじゃないですか(笑)。個人的には、24歳でデビューできたことがベストだったなと思っています。

2022.01.05(水)
文=松山 梢
撮影=杉山拓也
ヘアメイク=石川奈緒記
スタイリスト=李靖華