郷土料理こそがイタリア料理の真髄!

 イタリア各地方の郷土料理や、マンマが工夫して作った料理を研究している齊藤奈津子さんが、家でもできる簡単なイタリア料理をご紹介します。


キノコ大好きイタリアならではの「キノコ鑑定士」とは!?

 イタリアの秋の味覚といえばキノコ、栗、かぼちゃ、ブドウ、柿などが代表格。地形や緯度も近いため、実は日本とほぼ同じなんです。

 中でもキノコは日本同様とても人気のある食材。秋になるとキノコ狩りに出かける人も多く、森や林を通り過ぎるとカゴを持った人たちを良く見かけます。

 色んなきのこが生えていますが、やはり人気はきのこの王様「ポルチーニ茸」。採れたてのポルチーニは別格で、私も一度友人が採ってきたポルチーニを食べましたがあまりの美味しさに卒倒しそうになりました。

 ポルチーニが採れる場所は他言無用だそうで、親しい友人にすら教えないことも。「あんなに日頃なんでも喋るのに、なんでだよ!」と思ってしまいました。

 そんな貴重なポルチーニ。友人に連れられて採りに行ったことがあります。しかしその日は出遅れたのか、殆ど採られてしまった後でした。

 その代わり、見たことのないキノコが沢山採れたのですが、素人では食べられるかどうかさっぱり判別がつきません。

 友人いわく、「ディズニーの白雪姫に出てくる明らかにやばそうなキノコはもちろんNG。見た目が美味しそうなキノコでも毒キノコの可能性が高いよ」だそう。

 どうやって見分けるの? と聞いてみたところ、「イタリアにはキノコ鑑定士がいて、その人たちに聞くんだよ。」

 え? キノコ鑑定士!?

 私が住んでいたトスカーナ州では、採れたキノコを保健所に持ってくと、キノコ鑑定士が食べられるものを無料で選別してくれるとのこと。

 キノコ鑑定士とは、主に細菌学などの国家資格を持つ専門家。それほど、キノコ狩りが一般的で盛んだということですね。

 ちなみに、ポルチーニ茸はトリュフと同様に人工栽培の技術が確立しておらず、全て自然に生えているものを採取しています。

 ポルチーニ茸は色々な調理法があり、どんな風に食べても本当に美味しいのですが、私が特に好きなのはフリット!

 外はカリッと中はとろっとろで、ポルチーニの旨味と甘みを余すことなく味わえるんです。新物のオリーブオイルをかけて食べるのが特におすすめ。

 他にもパスタ、スープ、ステーキなど、この時期は思いっきりポルチーニ茸を堪能する
イタリア人。確かに他人に教えたくない気持ちもわかります。

 生ポルチーニ茸はイタリアならではの醍醐味ですが、もちろん日本のスーパーに置いてある乾燥ポルチーニでも、十分楽しめます。

 というわけで、今回は乾燥ポルチーニ茸を使ったパスタをご紹介!

 日本では生クリームを入れるレシピも多いですが、今回はオイル系で。椎茸のように水からじっくり戻して使うと、より旨味が出て美味しいですよ。

2021.11.20(土)
文・写真=齊藤奈津子
撮影=釜谷洋史