とはいえ、これは全編観たから言えることである。寸劇の最初の方でなんだなんだ何が始まったんだと離脱されるリスクも高い。「奇をてらわず、普通にデビューさせてあげてくれよ……」と思ったファンの方も多かったのではなかろうか。

 

 最初にピンスポットを一人浴び、「あ、さてさて」と口火を切る清野桃々姫の立ち位置など、想像するだけで胸が痛くなるようなプレッシャーである。スベるか受けるか予測不能な空気の中、物語の設定を語らねばならない。初披露の時、清野はなんと14歳。一言も噛まないどころか、イキイキと弁士から眼鏡君の彼女に切り替わる素晴らしい演技を見せた。いやもう恐るべき最年少である。

セリフ入りのハロプロ名曲「シャボン玉」

 私はこの曲がここまで売れるとは思わなかったが、寸劇自体は最初からハマッた。昔から「セリフ入りの歌」が大好きだった、というのもあるだろう。

 ハロプロもセリフが入っている楽曲は、もれなくリピートする。「ねえ、ギュッとして 抱きしめてよ!」と叫ぶ面倒臭さがたまらない「シャボン玉」(モーニング娘。)。「ごめんなさい……今更遅いよね」という後悔が切ない「嗚呼すすきの」(スマイレージ)。どちらも毎回「くっ、最高!」と床に転がりながら聞いている。

 セリフ入りはちょっとくすぐったいところもあり、好みが大きく分かれるとは思うが、歌は3分間のドラマ、歌手は演者であることを確信できる要素だ。

 BEYOOOOONDSの寸劇は、こういったセリフ入り楽曲に求められる「瞬発力と演技力」、そしてフォーメーションダンスに必要な「調和」が合体した、アイドルの表現の進化形のように思うのだ。斬新でどこか懐かしい、不思議な感覚になる。

12人全員が役を生きた「森ビヨ」の衝撃

 そんなBEYOOOOONDSが、その「寸劇」の成果を炸裂させたのが、今年4月、感染防止対策を徹底して開催した舞台「ハロプロ演劇女子部・眠れる森のビヨ」である。

2021.10.29(金)
文=田中 稲