『ゴッドタン』『あちこちオードリー』など数々の人気番組を手掛けてきたテレビプロデューサーの佐久間宣行さんが、今年3月にテレビ東京を退職。様々なフィールドで八面六臂の活躍を見せる佐久間さんに、フリーランスに転身する決断、YouTubeチャンネルの開設などについて聞いた。(全2回の1回目/後編を読む)

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45歳でフリーになった理由

――佐久間さんがテレビ東京を退社されてから半年が経ちました。20年以上勤めた会社を辞めるのには相当な勇気がいると思いますが……。

佐久間宣行さん(以下、佐久間) 会社を辞める1年くらい前からずっと悩んでいました。ある時、ふと5年後の自分をイメージして、会社にいた方がいいか、フリーになった方がいいか考えたんです。いま45歳ですから、5年後には50歳になる。それまでに、テレビの制作以外のクリエイティブをやらないと、いつか人生を振り返った時に、絶対後悔するなって思ったんですよ。

――周囲の方々はどんな反応をされましたか。

佐久間 驚きはしませんでしたね。テレビ局の中で働いている人間は映像制作業界の変化を肌で感じているから、辞める選択肢もあるよね、と思っていたみたいです。それに僕は2019年からラジオ番組のパーソナリティをやっているので、会社の中ではちょっと特異なポジションにいたんです。むしろ番組でご一緒している芸人さんの方が「順調なのに、何で辞めるの?」と驚いていましたね。「何かあったんですか」と心配されたり(笑)。

――今年7月にはYouTubeチャンネル『NOBROCK TV』を開設されました。あえて「TV」とつけた理由を教えてください。

佐久間 「テレビプロデューサーやってるよ」というのが視聴者にわかるようにしようと思って。あとは、昔のテレビみたいな、いろいろなジャンルの笑いの側面を出していきたいからです。自分でYouTubeチャンネルを始めて思ったのが、YouTubeは昔のテレビにどんどん近づいているということ。インフラとして完全に一般化して、老若男女が観ていますよね。テレビ業界は個人視聴率にシフトしつつありますが、それ以前のテレビって、上の世代を意識してか、情報がきちんと入っている番組が多かったじゃないですか。あれと同じ感覚で、YouTube番組もサムネイル画面にちゃんと情報が入っているものの方が観られるんです。

2021.10.24(日)
文=池守りぜね