9月1日(水)は「防災の日」です。

 「防災の日」は1959年の伊勢湾台風の被害を機に、災害に対する心構えなどを育成するために制定されました。

 毎日の生活の中で、ついつい後回しになってしまいがちな防災への意識。9月1日(水)をきっかけに少しでも見つめなおしてみませんか。

 CREAではそんな思いを込めて「大切な人を守るため CREAの防災ガイド」と題して防災関連の特集記事を公開しています。

 今回はその防災特集のスペシャルインタビュー企画。一般社団法人Think The DAYを立ち上げ、自身も災害支援活動を行っている紗栄子さんに、定期的に防災・危機管理を見直すことの大切さと、支援活動への想いを聞きました。


防災士の資格を取得した紗栄子さん

――先日、紗栄子さんが防災士の資格を取得したとの報道がありました。10年以上支援活動を行ってきた紗栄子さんがこのタイミングで、と意外にも思ったのですが、何かきっかけはあったのでしょうか?

 これまでずっと支援活動を続けてきて、避難現場のことや必要なことも長年の活動を通じて得た経験もあったので、当初は資格を取ろうという考えは特にありませんでした。

 でもある時、災害支援の時に「紗栄子」が来たより「防災士・紗栄子」が来たとなったほうが、被災地の皆さんの安心材料が増えるかもしれない、と思ったんです。資格を取得したことでマイナスになることもないし、少しでもプラスになるのならいっそ取ってしまおうって。

 それで、いざ取り組んでみたら思った以上に教材の勉強が大変で(笑)。

 過去の災害のデータとかあれこれ見直すことになって、日本は災害大国で、日本中どこにいたって安心・安全なんていうことは決してないんだって改めて気づかされました。

 「防災の日」ってまさにそういう防災意識を見つめなおすきっかけですよね。防災に関するアンケートなどを見ると、今でも防災バッグの常備率が3割に満たないとか、持っているとしてもその中の1/3は定期的に中身の点検をしていなかったりする。

 まだまだ自分ごとに出来ていない人はたくさんいると思います。起きた時には遅いんだよ、ということを積極的に発信していくことは必要なことだなと思いますね。

自分自身の安心のためにも、避難時の衣類の備えを

――9月1日(水)の「防災の日」には「TOKYO FM×ユニクロ 防災の日 特別番組 ~考えよう、服の備え~」にも出演されました。

 「防災における衣服」という視点で見ることで、抜け落ちていた部分が新たに見えて、とっても新鮮でした。季節ごとに衣類を含めて避難用具をアップデートしたほうがいいとか。私自身、年に2回の確認で、十分じゃないかと考えていたので、改めて気を引き締めなおしました。

 コロナ禍の影響で、避難所の収容人数が変化したり、線状降水帯の発生が増加する近年の状況など、たった1年経つだけで防災に関する知識も古いものになってしまう。定期的に見直すことは本当に重要なことですよね。

 番組に関することで言うと、被災地支援をしている中で、自治体や支援団体がフォローしづらい部分が実は衣服なんです。被災地で公平性ということが強く求められると、しっかりとカバーできない状態が起きがちなんです。

 極端なことを言うと、500人いる避難所に支援物資が499人分しかないから配ることができません、みたいなことは現実に起こり得ることなんです。話合いをして、うまく分け合うことだってできるはずなのに「公平性」ということに縛られて行動をすることができないこともあります。

 特に衣服は男女でも必要なものが変わってくるし、同じジェンダーだとしても一人ひとり体型など異なってくる。食事のように均一化した対応が難しい。さらに、女性だと下着に関することや、デリケートな問題も孕んでくる。それぞれが自分自身で準備しておくと、いざという時に安心だと感じました。

2021.09.13(月)
文=CREA編集部
撮影=平松市聖