おうち時間の定番のおともといえば、NetflixやAmazon Prime Video(以下、Prime Video)といった動画配信サービスですよね。とりわけ各サイトで配信されている海外の連続ドラマはクオリティも高く、ハマったら抜け出せない魅力に満ちています。

 しかし、最初はおもしろくても終わりが尻すぼみだったり、長期化しすぎてダレてしまったりと、作品選びが難しいのも難点です。かといって毎回違う映画を探すのも億劫……。

 そんな人にオススメしたいのが1クールで完結する「リミテッドドラマ」です。今回はハズレなしの「リミテッドドラマ」を5作品ご紹介します。

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ホラー界のエース監督が仕掛ける、極上の家族ドラマ×恐怖の幽霊譚

◆『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』(2018年/Netflix)

 本作は2018年にNetflixで配信された全10話のホラードラマで、配信直後から批評家や一般の映画ファンから絶賛の声が相次いだシリーズです。

 主演の一人であるヘンリー・トーマスは、昔スティーブン・スピルバーグ監督のSFファンタジー映画『E.T.』で主役のエリオット少年を演じていたことでも有名。本作では物語の核となる一家の父親役を熱演しています。

 本作の制作・脚本・監督・編集の全てを手がけたのは、マイク・フラナガンという人物。近年では映画『シャイニング』の続編『ドクター・スリープ』などを監督したホラー映画界屈指の実力派で、映画ファンからは「フラナガンにハズレなし」とまで言われることも多い人物です。

 と、ここまで言っても「ホラーは苦手だから」とスルーしようとする方もいるでしょうが、どうか待ってください。本作はホラーの味付けではありますが、ワッ! と脅かす演出はほぼないうえ、静かで美しく、そして物悲しい家族ドラマとなっているんです。最終回は本当にボロボロと泣いてしまうはず……。

 物語は、5人の兄妹が幼少期を過ごした屋敷「ヒルハウス」での恐怖体験の回想と、大人になった彼らのストーリーが並行して描かれますが、各話で家族の面々にスポットが当たっていくので混乱することもなく、お話が進むごとにキャラクターへの共感がグイグイ深まっていくはずです。

 「幽霊」とは果たして、暗闇に潜み、見た者を怯えさせるだけの存在なのでしょうか? 本作は幽霊たちを“未来を歩めない過去の残り香”として描き、彼らを軸に「後悔」を振り払おうともがく、傷ついた一家の様子を巧みに描き出しているのです。

『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』

クレイン家5人の兄妹が幼少期を過ごした古い屋敷「ヒルハウス」。しかしある夜、兄妹の面々は母を一人屋敷に残したまま、父に半ば無理やり屋敷から連れ出されてしまう。その夜を境に徐々にバラバラになってしまったクレイン家は、己の心の闇とヒルハウスに巣食う恐怖と向き合うことに……。

2021.04.28(水)
文=TND幽介(A4studio)