さらに、ブルーライトは眩しさだけでなく、見え方にも関係してきます。人は目の網膜で光を結像させてモノを見ているんですが、ブルーライトは網膜の手前で結像しやすいため、焦点距離が短くなり、これが「ボヤケ」の原因となります。効果の実感には個人差がありますが、ブルーライトをカットすればコントラストが向上し、鮮明な視界を得られることが期待できます。

 

レンズの黄色味やギラつきにはワケがある

――さまざまな影響があるんですね。実際にブルーライトカットメガネを作ろうとなると、カット率がメーカーにより異なったり、レンズが色付きのものとそうでないものがあったりして、迷ってしまう人も多いと思います。何を基準に選んだら良いのでしょうか。

加藤 まず、ブルーライトをカットする手法には3種類あります。ひとつはコーティングでブルーライトを反射させてカットするタイプ。もう一つは染料で着色してブルーライトを吸収するタイプ。そして、ブルーライト吸収剤をレンズに加えることでブルーライトを吸収する最新のタイプ。ギラつきやレンズの黄みがほとんどありません。

初期タイプのブルーライトカットレンズ(右上)は、青い光を反射してギラギラしている。最新のブルーライトカットレンズ(左下)にはギラギラした青い反射がない
初期タイプのブルーライトカットレンズ(右上)は、青い光を反射してギラギラしている。最新のブルーライトカットレンズ(左下)にはギラギラした青い反射がない

――たしかに、初期のものはパっと見てそれとわかるぐらい、レンズが青く反射していましたね。夜に電灯などを見ると二重に光が映り込む、いわゆる“ゴースト現象”も気になりました。

加藤 初期製品に比べてコーティングタイプのブルーライトカットレンズも進化しているので、ギラつきや黄色みが改善されて、ゴーストがほとんど出ないタイプもあります。ただ、原理的にギラつきや黄色みをなくすことはできません。また、コーティングタイプのブルーライトカットレンズは、モニタースクリーンやLED光源から出るブルーライトの低減を狙って作られています。

 染色タイプは、一般的にブルーライトのカット率が高いですが、明らかに着色したカラーレンズです。ブルーライトは目に見える光なので、カットすればするほどレンズカラーは濃くなります。ですから、お仕事で使われる場合はシーンを選ぶこともあるでしょうし、視界が色付くのでデザイン系やカメラマンなど色にシビアなお仕事の方には向きません。レンズが色付いていても問題なければ、カット率を重視される方には良いでしょう。

2021.02.14(日)
文=伊藤 美玲
写真=今井知佑