2020年12月31日をもって活動休止だなんて、誰が想像したでしょうか。SMAP解散後、ジャニーズの屋台骨を支え続けた嵐。国民的アイドルと呼ばれているだけあり、それぞれのメンバーがテレビドラマで主演を張ってきました。

 個々に名作を生み出していますが、その中でもテレビっ子目線で特に胸に残っているおすすめ作品をピックアップ。これを期に、改めて俳優としての嵐メンバーの演技に注目してみてはいかがでしょうか。


少女漫画から飛び出し続けた松本 潤のすごみ

 二枚目キャラをうまく活かし、ドラマで代表作をつくったジャニーズといえば、木村拓哉、山下智久(退所……)、そして松本 潤でしょう。それぞれラブストーリーの王道である月9での主演作でしっかりヒットを飛ばしています。

 嵐のなかで恋愛ドラマと一番相性がいいのが、松潤。たとえば「きみはペット」(03年・TBS列系)で演じた美少年のモモ役。天真爛漫な笑顔、従順で可愛げのある姿は本当に子犬のようで、観ていて癒やされた人が続出した作品です。

 「失恋ショコラティエ」(14年・フジテレビ系列)では「チョコレート王子」爽太を演じていました。ショコラティエとしての美しい所作はもちろん、片思い爆発モードの妄想シーンや実際のラブシーンのエロさにドキドキした人も多いのではないでしょうか。

 そしてなにより挙げなくてはいけないのが「花より男子」シリーズ(05年/07年・TBS系列)の道明寺役です。F4(作品内のイケメン4人組Flower4のこと)のリーダー格で世界に名だたる道明寺財閥の御曹司。喧嘩っぱやい「俺様」キャラで、最初は性格の悪い金持ち感全開のキャラクターでした。F4に逆らい続けるつくし(井上真央)を好きになることで、真面目で誠実な性格が垣間見えるようになり、そのギャップに多くの人が熱狂しました。

 道明寺といえばやっぱりセリフの良さ。「楽しい時も、苦しい時も、一緒の運命共同体だ」「嘘つけ、お前俺に惚れてんだろ?」「この俺が認めた女なんだから最強に決まってるだろ」。男らしさを感じる不器用で真っすぐなクサいセリフを、ストレートにそのまま言える人というのはなかなかいません。それが通用するのは、王道の二枚目キャラだけ。少女漫画から飛び出してきた男・松潤だから許されたのです。

 嵐にとっても「花より男子」は大切な作品で、メンバーの櫻井くんも「SONGS」や「櫻井・有吉THE夜会」の中でたびたび嵐の転機について「松潤が『花より男子』に出たとき」だと答えていました。主題歌になった楽曲「WISH」、「Love so sweet」、「One Love」は現在も嵐の代表曲。

 嵐にとっても「花より男子」がブレイクの要因であることは間違いなく、その威力は絶大です。松潤はその後「花のち晴れ~花男 Next Season~」(19年・TBS系列)でも道明寺役で出演していました。そこに花男シリーズへの愛を感じます。

2021.01.02(土)
文=綿貫大介