新型コロナウイルスの感染拡大がおさまらない中、密を避けつつも、少し出かける「5 hours Trip」。旅気分で街を歩けば、身近な街にも新鮮な出会いがあちらこちらに。そんな街歩きはいかがですか?

 今回の舞台は江戸時代末期の開港を機に、西洋の文化を日本各地に広める拠点となった横浜。観光名所の横浜赤レンガ倉庫以外にも、明治から昭和初期のレトロな西洋建築や、歴史ある施設が数多くあります。

「5 hours Trip」で、ハイカラでモダンな異国情緒を味わえる非日常の世界へTrip!


伝統の味を噛みしめて眺めのいい公園で朝食を

9:00

 横浜は日本で初めて食パンが生まれた街だといわれています。その伝統はいまも元町・山手エリアに息づき、パン屋さんの激戦区にもなっているほど。元町・中華街駅に着いたら、まずはおいしいパン屋さんで朝食を選んじゃいましょう。

 朝9時から立ち寄ることができる「ウチキパン」は、1888年創業の歴史あるパン屋さん。香ばしい焼きたてのパンの香りが横浜元町・仲通りに漂い、お店までの道案内をしてくれます。

 ウチキパンの歴史は、イギリス人のパン職人ロバート・クラークさんが横浜に住む外国人のために創業した「ヨコハマベーカリー」にまで遡ります。そこで修業をしていたのが、ウチキパンの創業者である打木彦太郎さん。

 実はこのヨコハマベーカリーの“上部が山のようにふっくら盛り上がっている食パン”こそ、日本の食パン文化のルーツ。パン職人としての腕を認められた彦太郎さんは、ロバートさんから暖簾を譲り受け、彼から学んだ山型食パンをメインに、一般家庭の主食となるパン作りに力を注ぎます。その食パンが、現在もウチキパンのシンボルとして大人気の「イングランド」。約130年守り抜かれている、まさに伝統の味なのです。

 山がふんわりと盛り上がった形の「イングランド」の作り方は、創業時からほとんど変わっていないとか。酵母から手間暇かけて生地を作り、じっくりと焼き上げます。また、主食として食べることを念頭にしているため、余分なものは含まれず、もっちりとした食感と小麦の香りが楽しめるのが特長です。

 王道の食パンはもちろん、新メニューも日々考案されているので、店内は目移りするほどの品揃え。屋外でも手軽に食べられるようにと細長く焼き上げられた「アップルパイ」や、お客さんのリクエストで復活した「無花果クリームパン」などは売り切れ必至です。どれを選んでもハズレなし!

 気になるパンを購入したら、近隣のアメリカ山公園で朝食タイム。小高い丘のベンチに座って、マリンタワーやベイブリッジを眺めながら、焼きたてのパンをいただきましょう。

ウチキパン

電話番号 045-641-1161
営業時間 9:00~19:00
定休日 月曜(祝祭日の場合は火曜)
http://www.uchikipan.com/

 朝食後は、元町のおしゃれな店が並ぶ商店街をのんびり歩きながら、石川町方面へ。全長約600メートルの元町ショッピングストリートは、横浜開港当時、外国人御用達の店が集まって発達した商店街。少し歩いただけで洗練された雰囲気に浸ることができます。

 昔の横浜レディたちも、こうしてウインドウショッピングを楽しんだのかな。さぁ、ストリートを抜けたら、異国情緒あふれる横浜山手西洋館が近づいてきます。

2021.01.03(日)
文=大嶋律子
写真=釜谷洋史