心理占星学研究家の岡本翔子さんが、2020年の年末に起こる惑星の大きな動きから、現代の革命的ともいえる時代の動きを読み解きます。全4回シリーズのうち、2回目。

 2020年の春、“眠らぬ都会の夜”は様変わりしました。

 明るすぎる街のネオンは消え、人々の姿もまばらに。その代わりに自宅で過ごすあなたの窓辺から、一番星が上るのを眺めた人もいるはず。

 2020年に暮らす私たちが見上げる月や星と全く同じ配置を、遥か昔の時代に生きた人々も見ていたのです。

» 第1回 グレートコンジャンクション
» 第2回 凶星が出合い悲劇が重なる
» 第3回 歴史が物語る驚きの出来事
» 第4回 2020年後半は戦略を練るチャンス


凶星と呼ばれる2惑星の出合いは 悲劇的な出来事と重なる

 新しい時代を迎える前に、2020年の初めには社会が大きく揺らぐような星の配置になっていると、前回に書きました。それが土星と冥王星のコンジャンクションです。

 占星術で伝統的に凶星と呼ばれるこの2惑星が出合う時期は、過去にも社会の激変や悲劇的な出来事が多く起こっています。

 今回はこのコンジャンクションが、山羊座の22度で起こりました。

 山羊座は社会の構造やシステム、政治や権力倫理や伝統などと関わりが深い星座です。その山羊座を舞台に、制限、抑圧を表す土星と、破壊と再生の星と呼ばれる冥王星が並び火花を散らすことになりました。

 この組み合わせが象徴しているものは、妥協を許さない強制的な力基本に戻ろうとする力であり、内側にマグマを有する休火山のような冥王星を土星が締め上げて、一触即発の状態を作り出します。

 土星も冥王星も動きの遅い惑星なので、この緊張状態は少なくとも2020年中は続くと思われます。

 今年は年頭からアメリカ軍がイラン革命防衛隊のガセム・ソレイマニ司令官を、イラクの首都バグダッドにて殺害。

 イランはアメリカへの報復を予告してイラクの米軍基地にミサイルを撃ち込み、「#第3次世界大戦」が世界中の検索ワードに急上昇しました。

 と同時に生態系への影響が懸念されるオーストラリアの森林火災などが起こり、世の中がざわつくその背後で、中国の武漢で始まった新型コロナウイルスが、国境を越えて静かに世界中へと広がっていきました。

 占星術ではこの2惑星の組み合わせは戦争や災害、経済危機と関わりが深いとされています。

 代表的なものとしては1914~15年、蟹座の0~3度でコンジャンクションが起こり、サラエボの凶変から第一次世界大戦が勃発。

 世界大恐慌は1929年末に土星が山羊座に入ったときに起こり、1931年7月、冥王星とぴったり正反対に位置するまで、世界を不安に陥れました。

 今回の新型コロナウイルスとの関連でいうと、14世紀のパンデミック、「黒死病」と呼ばれたペストの時代とも符合しています。

 ペストは1348年にイタリアで流行し始め、14世紀の終わりにはヨーロッパ全人口の70~80%が死亡したといわれますが、土星と冥王星は1350年に牡羊座で会合しています(この時代にはまだ冥王星は発見されていませんが)。

 さて世界大戦や大恐慌、ペストと禍々しい言葉が並びますが、それは目に見えている出来事にすぎず、そういった現象の背後にあるテーマは何か。

 それを星座や惑星のシンボリズムを使って読み解いていくのが占星術です。

 これらの現象を、映画や演劇に喩えてみるとわかりやすくなります。

 戦争や大恐慌、感染症はドラマティックな舞台設定で、このコンジャンクションがどの星座で起こるかによって、ストーリーのプロットが描かれます。

 2020年はそれが山羊座で起こることにより、筋書きは社会構造や政治・経済システムの解体と再構築ということになります。

 モラルやルールも山羊座的モチーフなので、法律や社会ルール(ソーシャルディスタンスとか手洗いの奨励とか)、モラルというものを一から考え直す必要に迫られるという筋書きも加わるでしょう。

 非常事態で平穏な日常を奪われるからこそ、このコンジャンクションには、ことの本質や人の本性をあらわにする力があるのです。

2020.05.23(土)
文=岡本翔子