郷土料理こそがイタリア料理の真髄!

 イタリア各地方の郷土料理や、マンマが工夫して作った料理を研究している齊藤奈津子さんが、家でも出来る簡単なイタリア料理をご紹介します。


こんがり揚げパンから チーズがとろ~り溶け出す

 イタリアには地方ごとに面白い料理が沢山あります。

 今回は食パンにモッツァレッラチーズを挟んでパン粉を付けて揚げるナポリ地方の前菜「モッツァレッラ イン カロッツァ」をご紹介!

 今回もイタリアの「クッチーナ ポーヴェラ」、つまり「貧しい料理」の代表的なレシピです。

 イタリアはユニークな料理名が多く、こちらもそのひとつ。

 「カロッツァ」とはイタリア語で馬車のことで、「モッツァレッラ イン カロッツァ」とは「馬車に乗ったモッツァレッラ」という意味。なぜこのような名前がつけられたのかというと、昔この料理は馬車の滑車のような丸いパンを使って作られていたからだそうです。

 この「モッツァレッラ イン カロッツァ」、ナポリに行くと色々な所でよく目にしますが、今は丸ではなく四角や三角など様々な形で作っています。

 パンにパン粉を付けて揚げているので、日本のカレーパンのような食感に近いです。

 ちょっと古くなってしまったモッツァレッラチーズを、パンに挟んで揚げたことで誕生したこの料理。日本でも余ってしまった食パンを使って、本格ナポリの郷土料理を作ってみてはいかがですか?

「モッツァレッラ イン カロッツァ」のレシピ

■材料(2人分)

・食パン:2枚
・モッツァレッラチーズ:50g
・卵:1個
・牛乳:大さじ1
・塩:少々
・小麦粉:適量
・パン粉:適量
・揚げ油(サラダ油など):適量

■作り方[所要時間:20分]

(1) 食パンの耳を切る。

(2) モッツァレッラチーズを5ミリほどの厚さ、4枚ほどに切りわける。

(3) (2)のモッツァレッラチーズの水気をキッチンペーパーなどで取る。

(4) バットに卵と牛乳を入れ、良く混ぜる。

(5) 切ったモッツァレッラチーズを食パンに並べ軽く塩をふり、もう1枚の食パンでサンドして軽く押す。

(6) (5)の食パンに小麦粉、(4)の卵液、パン粉を順につける。

(7) フライパンに油を入れ、170度できつね色になるまで揚げる。

(8) 熱いうちに半分に切って、盛り付ける。

★Point

・揚げ物をする環境がない場合は、多めの油(大さじ4程度)で揚げ焼きでもOKです。
・パンは卵液にしっかり浸すこと。
・モッツァレッラの上にアンチョビを1切れ入れるのもおすすめです。
・パン粉は、食パンではなく乾燥したバゲットをミキサーなどで細かくして使うと、より本格的な仕上がりになります。油の吸収も少なくてすみますよ。

齊藤奈津子(さいとう なつこ)

イタリア料理研究家。TVディレクターとして様々なジャンルのテレビ番組を制作するうちにイタリア料理の素晴らしさに目覚め、2009年、イタリア料理研究家1級を取得し翌年イタリアのフィレンツェへ料理留学。帰国後、イタリア各州の郷土料理を紹介する「イタリア家庭料理教室180℃」を開業。イタリアの食文化、そしてチョコレートを広める活動を続けている。インスタ:@natsukosaito0104

Column

簡単なのに味は抜群! イタリア・マンマの愛情レシピ

郷土料理こそがイタリア料理の真髄! イタリア各地方の郷土料理やマンマの工夫料理を研究している齊藤奈津子さんが、家でも簡単に再現出来る本格イタリア料理のレシピをご紹介します。

2020.05.21(木)
文・撮影=齊藤奈津子