ひたすら元気になれる“妄想フェス”を開催!

 2月末から、パラレルワールドに住んでいる気がするような今日この頃。みなさん、どうお過ごしでしょう。

 高齢の母と同居している私は、毎日が文字通りヒヤヒヤ、いや、ヒヤヒヤヒヤヒヤだ。体温を頻繁に測り過ぎて、36.4度という平熱の数字がゲシュタルト崩壊し「64度3分」と間違えて読むこともしょっちゅうである。

 常にマスクONのため、化粧もせず。髪もボサボサ、ストレスのせいか白い筋がいくつも開通した。

 「今の自分を客観的に見てみよう」と自撮りをしてみたら、そこには驚くほど老けた自分がいてギャー!!

 イカン。どうせ生きねばならぬなら、明るく乗り越えたい。

 さあ、イマージンッ、一緒に想像してみませんか。目の前にはギンギラギンにさりげなく飾られた舞台。そして真ん中には穏やかなスマイルを向ける名司会(高橋圭三氏をイメージすれば間違いない)。

 この際、客席での飲食もOKという設定にしよう。ポップコーンとコーラ? そりゃ~映画館の王道……だが、それも悪くないだろう(←ぺこぱ風に)!

 歌謡界を盛り上げてきたあの歌手によるあの歌。重さ・暗さはノン・ノ・ノノン。ひたすら元気になれる曲だけの妄想フェスが、あなたの目の前で開かれる。

 さっそく開幕。オープニングを飾るのはこの人しかいない。水前寺清子さんだ。いよっ、チータ! さあ、みなさん、手拍子をお願いします!

三百六十五歩のマーチ(水前寺清子)

 「この歌には乱れたメンタルを整える作用がある」と科学的に証明される日も近いと思っている。

 三歩進んで二歩下がるという少し残念な情報が盛り込んであるところも逆に信頼でき、「ワンツーワンツー!」の歌詞では右左右左と足が勝手に前に出る。

 聞くだけで勝手にポジティブになる、ある意味恐ろしい一曲。

TVの国からキラキラ(松本伊代)

 昭和アイドルソングの良さ。それは恋愛以外悩みがなんもない、という状況をケラケラッと歌ってくれる明るさである。

 特にこの歌は「憧れていたあの人が私のこと好きらしいのよーキャー!」とひたすら浮かれている歌である。

 今はそれが本当にありがたい。

べらんめぇ! 伊達男(シブがき隊)

 伊達男=ダンディと読む。

 シブがき隊の歌はタイトルが全てぶっ飛んでおり、一瞬バカにしてしまいそうになるが、聞けば極楽、超名曲揃いである。

 「好きだぜべらんめぇ! 惚れたぜべらんめぇ!」というケンカ売ってんのか好きなのかどっちなんだぃと突っ込みたくなる江戸っ子の純情な告白、そして「溜息つくには100年早い」の歌詞に勇気づけられる。

Lui-Lui(太川陽介)

 この先どうなるんだろう……♪ ルイッルイッ。

 どんなに不安でも、この曲がバックに流れていたら「ルイルイ!」と、彼と共に歌い、手をおいでおいでにしてしまう。

 そして「へへっ」と笑いが出る。なんと平和なパブロフの犬現象。

 ルイルイは太陽の眩しさを思い出す合言葉。レッツヤン世代であることをこんなに誇りに思うことはない。

2020.04.21(火)
文=田中 稲