葉擦れの音に耳を澄ませ、土に触れ、自然のエネルギーを吸収する

 食後は、ガーデナーでもあるスタッフの案内でウォーターガーデンを歩く「草花散策」に参加。ただ庭を散歩するだけ? と思いきや、内容は大充実。

 樹齢百年以上の松をはじめ、もともとある木々をそのまま生かした庭には台湾固有種の草花がたくさん茂り、興味を誘われる。

「この木は香りがいいので、台湾では香杉と呼ばれています」

「ユキノシタは肉厚の葉に毛が生えていて、虎の耳に似ているでしょう? だから台湾での呼び名は虎耳草」

 そんな説明に耳を傾けていると、どんどん、ネイチャーワールドへと引き込まれてゆく。

 ひとしきり草花を観察した後は、風や木漏れ日や水の流れを感じながら、しばし寝転んでリラックス。

 だんだんと高くなる太陽、木漏れ日の温もり、湧き水のせせらぎ、そこに響く野鳥のさえずり……。そのままの自然が、ただただ心地いい。

 草花に愛着が湧いたところで、園内にある台湾固有種の苗と苔を使ってオリジナルのミニ盆栽作り。土がついた植物は規制により日本には持ち帰ることができないので、完成品を写真に収めることをお忘れなく。

 グーグァンの自然にたっぷりと浸った後は、文化を楽しむアクティビティを。「谷茶のひととき」は、台湾が誇るスイーツ文化に触れる時間だ。

 今回は、この地に多い客家(ハッカ)人が、お客をもてなすときにふるまう飲み物、「擂茶(レイチャ)」作りにトライ。

 緑茶、すりごま、大豆や麦など20種類の穀物、ピーナッツをすり鉢ですりつぶし、お湯を注いで仕上げる摺茶は、昔から滋養強壮に効くとされ、客家の間では「1日3回飲めば夜まで疲れ知らず」とまで言われている。

 食感はとろりとして、お茶というよりもスムージーのような感覚。ノンシュガーなのに優しい甘みがあるから、台湾スイーツ好きも気に入りそうだ。

2020.04.26(日)
文=芹澤和美
撮影=釜谷洋史