あゆ縛りのカラオケが
孤独な心に刺さりまくり

 去年あたりから個人的に、浜崎あゆみブームが来ている。

 いや、正しくは来たり引いたり私の心は荒波である。なぜ、そうなったのかは最後に書くとして、まずはハマったきっかけなどを一方的にリメンバートークしたいと思う。

 ちなみに、今回が我が人生で初のあゆブーム。

 あゆが出すもの全てをヒットさせていた90年代末から00年、やることなすこと地味ヘタレな私にとって、彼女のオシャレっぷりと不思議キャラ、甘すぎる鼻声はもはや宇宙人。

 加えて短期間にドカドカ曲を出すスタイルは、フルマラソンをカール・ルイスばりの速度で走っているようにしか見えず、曲がどうこう言うよりも、

「なんだか慌ただしいが大丈夫なのだろうか」

 くらいにしか思えなかったのである。

 ところがあれから約20年。エエおばはんになってから、大阪の中心であゆにハマる……。

 きっかけはベタだが、カラオケである。履歴で見つけた「End roll」に反応してしまい「ああ、この曲だけは好きだったなあ。懐かしい、ちょっと歌ってみるか……」と1曲入れたのがデスティニー。

 自分で歌って初めて分かる浜崎あゆみ曲の陶酔度。ロンリ―ハートにドカドカ効くのなんの。嗚呼、もうどうにも止まらない!

 「君はどこへ行ったのか」(「End roll」[作詞/浜崎あゆみ 作曲/D・A・I]) 自分でもサッパリ分からない!

 「そんな日々もあったねと 笑える日が来るだろう」(「SEASONS」[作詞/浜崎あゆみ 作曲/D・A・I]) 早く来てーッ! もうたいがい年食ったし!

 「居場所がなかったー」(「A Song for XX」[作詞/浜崎あゆみ 作曲/星野靖彦]) 今も見つからないーうぉー。

 ……とまあ、自分で歌い自分で合いの手を入れること1時間。カラオケボックスにはドス黒い熱気が渦巻いた。

 途中「浜崎あゆみの歌はタイトルが全部アルファベットなので歌いたい曲がどの曲か分からなくなる問題」にぶち当たりフェイドアウトしたが、いやもう参った参りました。

 10代の迷いを歌ったあゆの歌が、ド中年の私のこじらせハートにズームイン! その後友人に声をかけまくり、あゆカラオケを実践したのはいうまでもない。

2019.09.05(木)
文・撮影=田中 稲
画像=文藝春秋