「美味だれ」がメニューにない、かと思いきや

 メニューは壁にはられている「ねぎま」とか「つくね」など定番やきとりと、「かしら」や「はつ」といったやきとん的なものもある。しかも、全品100円というから太っ腹だ。やきとりはカウンターのご主人、がんちゃんが炭火で焼いていて、立ち込める香ばしさ。これは期待のできる雰囲気だ。

 しかしだ。メニューに「美味だれ」がない。どこにも書いてない。「注文は書いてね~」と紙を渡されたので、「ねぎま2本、つくね2本……」などと記入し、「塩かたれか」の要領で恐る恐る「美味だれで」と書き添えてみた。紙を取りに来た女将さん、大笑い。「たれはそこにあるから好きなだけかけていいよ~!」

つぼに入っていて使い放題の「美味だれ」。ふたを開けるとにんにくの香りがぽわーん! 串揚げの要領でどっぷりつけるタイプのお店もあるらしい

 物知らずって恥ずかしい。知ったかぶりも恥ずかしい。目の前のつぼに「美味だれ」はなみなみと入っていたのである。上田のやきとり屋での「美味だれ」は卓上塩みたいなものだったのだ。

 待ちきれずにお通しの生キャベツにちょびっとつけて食べてみる。これは……! 

 おろしにんにくがたっぷりと入っていて、醤油ベースなんだけれどほんのりと甘い、そんなたれ。つまり、美味! そしてくせになる! 小さな焼き場で私たちのとりが焼かれる順番が来る前にキャベツを食べ尽くしそう! きゃーきゃー言う東京モンの横では、上田ロコたちがやはりやきとりに「美味だれ」をたっぷりつけて食べている。

 キャベツをがっついて食物繊維を十分に摂取したころ、少しずつやきとり登場。「美味だれ」をもはや慣れた手つきでたっぷりとかけ、絡め、いただく。やきとり自体とても美味しいので、途中からはつけすぎないように注意。がんちゃんのやきとりは表面をパリッと焼き上げるタイプで、とても正統派なのだ。しかし、この正統派やきとりたち、特につくねは、「美味だれ」がよく似合う。ああ、「美味だれ」を絡めたつくねをごはんにのっけて、食べてみたいとせつに願ったが、ごはんが炊けていないようだったので断念した。残念。やきとりだけでなく、「もも焼き」という焼いたもも肉を細かく切って食べやすくなっている一品もおすすめ。なぜか冷やしトマトもすごくおいしくておすすめ。どちらも「美味だれ」をつけたりつけなかったりして、好きに楽しんで欲しい。

「美味だれ」は相当な量のにんにくがさすがに「におわない」とは言い切れない。しかし、にんにくがツンツン辛かったり、あとからもたれたりしない。もりもりと飽きずに食べられる。

 ふとした拍子に出会えた地方の名物。ふらりと小さな旅に出るのもいいものだ。さらに上田駅のすぐ横に、から揚げ専門店を発見。また上田に行かなくちゃ。

やきとり がんちゃん
住所 長野県上田市中央3-2-13
電話番号 0268-25-2119

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2012.10.24(水)