りんごのおいしさに目覚める
サプライズなブッフェレストラン

 ゲストを驚かせるのは、青森県の名産品であるりんごをモチーフにした個性的なブッフェレストランだ。

 天井をハンドメイドガラスのりんごの実のオブジェが飾り、輪切りりんごをモチーフにしたオリジナル照明を設えるなど、店内は優しい雰囲気。

 朝夕の食事は、木の温もりあふれるこの空間で楽しむ。

 「リゾートでブッフェ?」と思うことなかれ。夕食にずらりと並ぶのは、りんごを使ったオリジナルのメニューや郷土料理など、80品以上。

 その場で焼き上げる帆立の貝焼きや十和田名物「牛バラ焼き」のコーナーもある。

 趣向を凝らした調理は、りんごのおいしさを知り尽くしたこの土地ならでは。

 「生ハムとりんごのサラダ」はシャキシャキとしたりんごの食感と生ハムのバランスが絶妙で、ワインにも合う一品。

 りんごの果実をホクホクと味わう「りんごとチキンのクリーム煮」から「あつあつアップルパイ」まで、さまざまなりんご料理を試してみたくなる。

 珍しい郷土料理といえば、アピオスの天ぷら。

 アピオスというのは、明治時代にりんごの苗木が青森に輸入された際、その土についてきたことがきっかけで栽培が始まったもの。栄養価が高く、「ほどほどに食べて」という意味で「ほどいも」とも呼ばれているという説も。

 ほんのりとした甘みがあり、ジャガイモと里芋を合わせたようなホクホクの食感がクセになる。

 このレストランの予約は不要。好きな時間に利用できるのは、アクティブに旅を楽しみたい人にはうれしい。

 雪景色を眺める窓際のテーブル、頭上にりんごの木のオブジェが広がるテーブル、多彩な空間で食事を楽しむことができる。

 たっぷりと料理を味わった後は、「ラウンジ 森の神話」へ。

 かすかに漂う甘い香りの正体は、暖炉でパチパチと燃える、りんごの剪定枝を使用した薪。

 もともとは廃材として捨てられるものだが、燃えやすく火が長持ちすることから、こうして薪として利用しているのだそう。

 この甘い香りの中で飲みたいのは、りんごを使ったお酒。甘いカクテルではなく、円熟した香りのものなら、どっぷりとこの雰囲気に浸れそう。

 青森県産のりんごから作ったニッカのブランデーや、青森県限定販売のアップルブランデー、りんごの蒸留酒カルヴァドスなどは、アルコール度数は高いけれど、就寝前の一杯にはぴったりだ。

2019.02.23(土)
文=芹澤和美
撮影=佐藤 亘