カハラを愛した文豪が随筆に書き残したこと

一度訪れれば誰もが魅せられる、カハラの朝の美しい時間

 ハワイの朝は清々しい。カハラを愛した文豪・川端康成は随筆『朝の光の中で』でこう書いています。

「わたくし、カハラ・ヒルトン・ホテルに滞在して、二月近くなりますが、朝、濱に張り出した放ち出しのテラスの食堂で、片隅の長い板の臺におきならべた、ガラスのコツプの群れが朝の日光に輝くのを、美しいと、幾度見たことでせう。ガラスのコツプがこんなにきらきら光るのを、わたくしはどこでも見たことがありません。」

カハラに宿泊した著名人の写真が飾られるホテル内の廊下には、川端康成の写真も

 ノーベル文学賞を受賞した後、ハワイ大学に客員教授として招待され、教鞭をとり、公開講義も行った川端康成は、大学へ行かないときはホテル内で過ごすことが多かったそうです。よく散歩をする姿を見かけ、朝食はホテル内にあったレストラン「ハラ・テラス」で取っていたといいます。きっと、数カ月の滞在のうちに、「カハラ・デリカシー・シン・パンケーキ」を食べたに違いない。『朝の光の中で』の構想の片隅にあのパンケーキがあったと想像すれば、洗練されたパンケーキのおいしさと、ハワイの朝に見つけた美しいものに対する思いが決して遠いものではないと思うのです。川端康成が泊まった日本家屋の離れ「ハイダウェイ・コテージ」は「カワバタ・コテージ」と名を変え、いまはその場所にドルフィン・ラグーン・ウィングが出来ています。

現在は閑静な住宅街となったカハラ地区。太古の時代から王族の湧き水が出るパワースポットとしてハワイアンの人々を癒し、いまもハワイの人のくつろぎの場所となっている

 カハラ・エリアはハワイ太古の時代から癒しの場所と言われていて、王族のみが飲める湧き水があり、実際に、カメハメハ3世がその水を飲んだという文献も残っています。その湧き水には水守がいて、いつ来るかわからない王のために水を代々守り続けたのだそう。現在はその湧き水の場所は分からなくなってしまいましたが、ホテルのある場所が、もしかしたらその場所ではないかと言われています。それがドルフィン・ラグーン・ウィングの真ん中のあたり。

『朝の光の中で』は、「一期一會」という言葉でしめくくられます。川端康成がホテルのレストランで見た朝の光にきらきらと光るガラスのコップも、カメハメハ王を待つ水守が守っていた水も、私たちがおいしいと求めるパンケーキも、カハラを舞台にした歴史の一部、一期一会なのです。

The Kahala Hotel & Resort (ザ・カハラ・ホテル&リゾート)
住所 5000 Kahala Ave.Honolulu, HI 96816-5498
電話番号 +1-808-739-8888
URL jp.kahalaresort.com

Plumeria Beach House (プルメリア・ビーチ・ハウス)
営業時間 朝食:
アラカルト 6:30~11:00 ビュッフェ 6:30~11:00(週末のビュッフェは12:00まで)
ランチ:
アラカルト 11:00~14:00 カレービュッフェ 毎週水曜日 11:45~14:00


ディナー:
アラカルト 17:30~22:00(定休日 水曜&日曜日) シーフード・ビュッフェ 毎週金曜&土曜日 17:30~22:00
メニュー 朝食ビュッフェ 35ドル(大人)、カハラ・デリカシー・シン・パンケーキ 15ドル

工藤まや (くどう まや)
雑誌、TV、CMなどのメディアコーディネーター。ハワイ在住13年目。
アメリカ人の夫と愛犬2匹と虹の町マノアに暮らす。
CREA WEBで「おもてなしハワイ」を連載中。近著に山下マヌー氏との共著『かわいいハワイ』(マーブルトロン)

協力:ハワイ州政府観光局
公式サイト www.gohawaii.jp
Facebook www.facebook.com/discover.aloha

Column

ハワイのおいしいパンケーキの秘密

ハワイ在住13年目でオアフ島マノアに住むメディアコーディネーターの工藤まやさんが、ハワイのおいしいパンケーキとそのおいしい秘密を紹介します。

2012.10.21(日)