役作りの計算はしなかった
『私の人生なのに』

――最新出演映画『私の人生なのに』では、知英さん演じる下半身不随となったヒロイン・瑞穂を変えるきっかけとなる幼馴染・淳之介を演じています。劇中ではギターの弾き語りシーンもありますね。

 家にギターがあったので、ときどき弾くことはあったのですが、弾きながら歌うことは初めてなので、そこからのスタートが大変でしたね。映画のために作曲もしましたし。役作りのために、ちょっとだけ路上で演奏したりしたんですが、ほかの方の迷惑になりそうだったので、すぐにカラオケボックスでの練習に変えました(笑)。ただ、撮影の際に路上で歌ったときは、全然違う感覚がしましたね。

――今回の作品では、どんな新しい稲葉友が観られると思いますか?

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 淳之介はいろいろと屈折しているんですが、それよりもピュアで優しい人物にしたいと思っていました。だから、今回は役作りに関して、計算のようなことはしませんでした。それによって、ちょっと変な奴というイメージは残るかもしれませんけど。今までは死が隣り合わせな不幸な役が多かったんですが、淳之介は今まで以上に自分がナチュラルにその世界にいることができた役だと思います。だから、昔からのファンの方にとって、「稲葉を観た」という感覚は、あまりないかもしれませんね。「目の前にある“生きる”をもうちょっと考えてみたらいいかも?」という、とても優しい映画になっていると思うので、できるだけ幅広い世代の方に観ていただきたいです。

2018.07.20(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘