CREA WEBインタビュー連載が、〈厳選「いい男」大図鑑〉としてリニューアル。一発目に登場するのは、十五代目片岡仁左衛門を祖父に、片岡孝太郎を父に持つ片岡千之助。今年18歳になった“歌舞伎界のサラブレッド”のプライベートや素顔に迫ります。

幼少時代から拍手をもらうのが好き

――自身の家系のことを初めて知った瞬間は、いつ頃ですか?

 物心ついたときから、自然と知ったと思うのですが、初お目見得の前は、何も考えていなかったと思います。ただ、ギリギリ泣かない程度の年齢、2歳のときから『源平布引滝』の「義賢最期」や「実盛物語」などの舞台を観させてもらっていましたし、「憧れの人である、パパやおじいちゃんと同じことができる。同じ舞台に立つことがカッコいいことだ」と思っていたことは、なんとなく覚えています。

――2003年には、大阪松竹座「男女道成寺」で初お目見得。翌04年には、歌舞伎座「松栄祝嶋台」で片岡千之助を名のり初舞台を踏みますが、そのときのことは覚えていますか?

 後になって映像を見たことで、「こんな感じだったかも?」とか、袈裟のような衣裳をめくって遊んでいたことも思い出しますが、初お目見得のときも初舞台のときも、とにかく舞台に立つことが楽しかったです。僕、昔からいろんな方から拍手をもらうのが好きなんです。だから、どこかで緊張しながら、ニヤニヤしていました(笑)。だからといって、幼稚園のお楽しみ会みたいなもので特に目立ったことをしたことはありませんでした。

2018.06.08(金)
文=くれい響
撮影=白澤正