急成長を遂げた中国・台湾映画界への対応

――先日、30歳になられましたが、今後はどんな俳優を目指していきたいですか?

 もっと演技力に磨きをかけて、どんどん新しい役に挑戦していきたいです。あと、映画なり、TVなり、中国の作品にも出ていきたいです。僕はトニー・レオンさんが好きなんですが、金城武さんのように日本と海外を行き来しながら、活動していくのが理想です。事務所もそれを認めてくれるので、意見は一致していますね。

 僕がデビューしてからの年数と同じ、この10年ちょっとで中国映画界の状況が大きく変化したんですが、これはスゴく良いことだと思うんです。日中友好みたいなものにも前向きになると思いますし、日本が厳しい環境のときに、中国がよくなったり、その逆だったり、お互い助け合っていけるようにバランスが上手く取れるといいですね。

 以前の中国映画では戦争ものが流行していましたが、最近はラブコメも増えてきているので、若い人が見るような映画に出てみたいです。

――昨年大ヒットした『あの頃、君を追いかけた』(日本では映画祭のみの上映)など、ここ数年で急成長を遂げた台湾映画界については、どのように思われていますか?

 去年、台湾で映画を何本か見たときに、時代が変わった感じがしました。若い役者さんがどんどん出てきて、芝居も上手い。作品全体のクオリティもどんどん上がっている。それに昔のように淡々としている作品ばかりじゃなくて、いろんなジャンルが出てきて、面白くなっていることを肌で感じたんです。

 個人的な意見としては、『あの頃、君を追いかけた』も好きですが、同じくヒットした『ジャンプ! アシン』(日本未公開)の方がより好きですね。

――そんなタイミングで、注目の若手ワン・ポーチェと共演された台湾映画『騒人』の完成が気になるところです。監督は『不完全恋人』でも組んだDJチェンさんですし。

 僕もどんな作品になるのか楽しみですね。監督のDJチェン本人が好きなんですよ。とても才能がある方だと思います。だから、ずっと監督に付いていきたいとも思いますね。

阿部力 (あべ・つよし)
1982年2月13日生まれ。中国・黒竜江省出身。175cm・A型。中国人の父と日本と中国のハーフの母を持ち、2000年に『トイレ・どこですか?』で映画デビュー。05年10月TBS系ドラマ「花より男子」にF4・美作あきら役で出演。昨年は『ワイルド7』『スマグラー  おまえの未来を運べ』などに出演。中国語圏では、李振冬(リー・ジェンドン)の芸名で活躍する。3月23日(金)~27日(火)に舞台「池田屋・裏 2012」(天王洲 銀河劇場)に出演。
オフィシャルサイトでブログを更新中!
ブログURL pc.tsuyoshi-abe.jp/dp/

『ゴーストライターホテル』
作家を志す、書評ライターの内海(阿部力)は、収入の不安定さが災いして妻と離婚の危機。大学時代の文芸サークル同期がベストセラー作家になるなか、内海は一念発起して、かつて文豪たちが名作を生み出したホテルに滞在。そこに文豪たちの幽霊が現れて……。
ghostwriter-hotel.com
(C)テレビ朝日/吉本興業
2012年3月17日(土)より、シネマート新宿ほか全国公開

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2012.03.11(日)
text:Hibiki Kurei
photos:Miki Fukano