ロマンティックな伝説の地で、王様気分を味わう

 今から150年ほど前、ジョグジャカルタ王宮(クラトン)7代目の王、ハメンクブォノ7世は、アンバルクモの地に愛する妻との暮らしのため素晴らしい宮殿を建てた。敷地内には美しい水の宮殿(タマンサリ)も用意されたという。

美しい水の宮殿(タマンサリ)

 しかし、「ひとつの王家にふたつの王宮が存在することはおかしい」と宮廷内で反対の声があがり、わずか一代限りで歴史の中からこの宮殿としての姿を消すことになる。

 その後、1966年にこのアンバルクモ王宮のあった土地には、当時のスカルノ大統領によるインドネシア政府プロジェクトとしてホテルが建てられるが、王宮の建物自体は利用されることもなく、ホテルの脇にひっそりとたたずんでいるままだった。

伝統的な給仕法によって食事が運ばれてくる

 2010年、ホテルの大改装工事が行われ、今まで沈黙を続けていた幻の宮殿が、2011年にレストランとして復活。また、王宮内で王の寝室として利用されていた部屋などが、美術館として開放される予定だそう。

 正真正銘、本物の王宮だった建物が、一般ゲスト向けのレストランとして開放されることは、ジョグジャルタの歴史上初めてである。

 現在、この王宮レストランでの食事は、完全予約制。料理の豪華さもさることながら、王宮内で実際に王のために行われている伝統的な給仕法によって食事が運ばれてくるのもゴージャス。本物の王様気分を味わいに行ってみたい!

本物の王様気分が味わえるおもてなし

Royal Ambarrukmo Yogyakarta (ロイヤル・アンバルクモ・ジョグジャカルタ)
住所 Jl.Laksda Adisucipto No.81,Yogyakarta 55281-Indonesia
電話番号 +62-274-488488
URL www.royalambarrukmo.com

吉田陽子(よしだようこ)
インドネシア・バリ島在住。バリ島およびインドネシア国内で発行する日本語情報誌アピ・マガジン編集長。大学在学中からグラフィックデザインを勉強し、日本の出版界で働いたのち渡バリ。現在はバリ古典舞踊プログラム『Tetamian(テタミアン)』のマーケティング&PRも兼ね、日本とインドネシア間の友好イベントのPR、サポート、メディアパートナーも行う。

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text:Yoko Yoshida