ワインとともに食事をするなら島内のレストラン

 サントノラ島のワインは、フランス国内でも入手が難しいので、島内のレストランで食事と一緒に楽しむのがおすすめ。サミュエルさんが案内してくれた、港近くのレストラン「ラ・トンネル」は、大きな窓の外に緑の木々と真っ青な地中海を望む、素敵なレストランです。

 ランチタイムのみの営業ですが、シンプルなサラダやフリットのほか、鱈とジャガイモで作る南仏の伝統料理ブランダードや牛肉のグリエなどを、サントノラ産のワインとともにいただくことができます。

左:「ラ・トンネル」の店内。海と木々に囲まれた素晴らしいロケーション。オフシーズンの冬季は休業です。
右:手前が有機野菜のサラダ、その右奥が小魚のフリット。素材を生かしたシンプルな料理がいただけます。

 サミュエルさんが白ワインに合わせてチョイスしてくださったのは、小魚のフリットと有機野菜のサラダ。フリットはからっとよく揚がっていて、サラダのドレッシングに使われていたニース産のオリーブオイルはとてもフルーティ。

 また、使われている塩は「塩の花」と呼ばれる南ローヌ地方のカマルグ産。ミネラルが豊富で白く輝く美しいこの塩は、グルメたちからも評価を得ています。喉が渇き、小腹も空いたときにぴったりのペアリングでした。

この島ならではのお土産を求めて

 生産量の少ないサントノラ島のワインは、そのほとんどが島内やカンヌ周辺で消費されてしまい手に入りにくいのが現状ですが、このワインの感動は大切な人たちとも共有したくなるはずです。レストランの隣にはワインを中心としたブティックが1軒あり、そこで7種類すべてのワインを購入することができます。

ワインの熟成樽を用いたワインブティックの看板。
ブティック内にディスプレイされたワインたち。試飲ができる場合もあります。
ワイン以外では島のハーブやフルーツのリキュールを。

 小さな島ながら豊富な自然と長い歴史、昔ながらの生活を守る修道士たちなど、タイムスリップしたかのような不思議な雰囲気を持つサントノラ島。独特の気候に育まれたブドウは、美味しいワインとなって私たちの喉を潤してくれます。

 「行ってみたい!」そう心に決めたら、今すぐ行かなくては……!? いえいえ、この島を訪れるのは、それほど急ぐ必要はないかもしれません。なぜなら、この島はきっと今までと同じようにゆっくりと時を刻み、しばらく経っても今日と同じような風景を保っているでしょうから。

レランス修道院
http://www.abbayedelerins.com/site/index.php/fr/
※ブドウ畑の見学は要事前予約

●日本でサントノラのワインを手に入れるには?

商業目的のワイン造りではないため、フランス国内でも南フランスを離れると入手が困難と言われ、輸出されることのなかったレランス修道院のワイン。最初に日本への輸出が認められたのは、カンヌ市と姉妹都市関係にある静岡市に本社がある「ヴィノスやまざき」です。ご興味がある方は以下のURLよりお問い合わせを。

ヴィノスやまざき
http://www.v-yamazaki.co.jp/
※オンラインのほか、ヴィノスやまざき有楽町店での取り扱いあり。

須藤みほこ(ワイン&フードスタイリスト)

社団法人日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。ワインメーカーに勤務後、ワインと食をテーマにフリーランスとして雑誌や書籍で活躍。著書に『シャンパン&スパークリングワイン』(主婦の友社)、『フランスAOCワイン事典』(三省堂・共著)など。
Instagram https://www.instagram.com/dessinerlasaveur/