チェルノブイリで「石棺」の姿が見られるのはあと約5カ月

 チェルノブイリといえば、事故の後に応急措置でつくられた「石棺」が有名ですが、すでに30年が経ち、耐久年限をむかえています。そこで現在フランスなどの支援のもと、巨大なドームで4号炉を覆うという工事がすすめられています。このドームを4号炉の上にスライドさせるのが、2016年11月ごろといわれています。つまり、チェルノブイリで「石棺」の姿が見られるのはあと約5カ月ということになります。

 このツアーでメインとなるのは原発からわずか4キロに位置していた都市、プリピャチ。

飛び込み台に深さ最大5メートルのスイミングプール。施設の規模にプリピャチの短かった繁栄を見る。

 1970年に原子力発電所の労働者とその家族のためにつくられた「ニュータウン」は、わずか16年後に無人の都市となりました。

 それから30年。高層の集合住宅や飛び込み台もある巨大なプール、川沿いの洗練されたカフェなどは、すべて森のなかに隠れるようにして当時の姿を伝えています。

プリピャチの学校。建物の崩壊がすすみ、内部が見学できる建物も今後減っていくと想定される。

 しかし寒暖の差はコンクリートにダメージを与え、かつては中に入ることのできた建物も崩壊の危険から、しだいに不可能になってきているといいます。その意味でも早めに行くことをおすすめします。

 チェルノブイリ訪問といえば気になるのは放射線量でしょう。

10キロと30キロ圏外に出るときに放射線の測定ゲートをくぐる必要がある。

 今回ガイガーカウンターで随時測定しましたが、4号炉の目の前でこそ、毎時約5マイクロシーベルトを記録しましたが、それ以外は毎時0.15~0.30と平常からその2倍以内におさまっているところがほとんどでした。

 いずれにしても、1日や2日のツアーに参加して浴びる量は、日本からウクライナへの往復の航空機で浴びる線量よりもはるかに少なく、現実的な問題はまずないといっていいでしょう。

ウクライナ国立歌劇場。前から2列目の席が1,200円。最安ならわずか80円でオペラやバレエが堪能できる。

 もちろんウクライナにはチェルノブイリ以外にもさまざまな見どころがあります。

 たとえば、ウクライナ国立歌劇場(キエフオペラ)では、最前列でも、わずか1,200円でオペラやバレエを堪能することができます。「石棺」が見えるうちに、ぜひチェルノブイリを訪れてみてはいかがでしょうか。

2016.07.04(月)
文・撮影=橋賀秀紀