岸谷五朗演出の舞台で決めた、役者としての覚悟

――その後、11年からは、菊丸英二役で「ミュージカル・テニスの王子様 2ndシーズン」に出演されました。

 中学3年生から高校1年生のときですが、2年半ずっと同じ役を真剣にやり続けるということで、ここで初めてお仕事に対する責任感が芽生えてきました。毎日役と向かい合って、演じることがしんどくなるときもありましたし、やり続けるからこそ楽しいこともあったし、今までまったくなかった体験をすることができたと思います。

――つまり、小関さんにとって転機になった作品ということでしょうか?

 そうですね。

 ちょうど、どこの高校を受験するかを早めに決めないといけない時期でした。15歳から17歳の2年半を菊丸として過ごしていく。つまり、自分は将来何をやりたいのか、と考えた末の決断だったので、かなりの覚悟がいりました。その結果、この道を選んで、ファンの方が「可愛い」と言って応援してくださったこともあり、自分の頑張りがひとつのカタチになることの喜びを知りました。

――その後、13年の舞台「FROGS」では初主演を務められました。

 このときが、本当に役者をやっていくと覚悟を決めたときでした。事務所の先輩でもある岸谷五朗さんの演出だったのですが、岸谷さんは役者目線で僕に足りないものを次々に見抜かれました。僕が100%でぶつかっても、それは岸谷さんにとっての100%じゃない。とにかく学業と両立ができなくなるほどキツかったのですが、「役者の仕事って孤独でいることだよ」という岸谷さんからの言葉が心に響いて、苦しみもがきながら、初めて自分と戦った気がします。でも、その大きな壁を乗り越え、つかんだものはとてつもなく大きかったと思います。

2016.03.11(金)
文=くれい響
撮影=橋本 篤