海と山に挟まれたジェノヴァとリグーリアの地方料理は、即ち良質な食材中心の料理。新鮮な魚介類に、海面から陽光が照り返す丘の斜面ではタジャスカなどオイル好適種のオリーブやバジルにハーブ、野菜が育ち、山ではジビエやキノコもとれるなど、食材の水準が素晴らしく高い。

 時として、驚くほど大胆でミニマルな組み合わせながら研ぎ澄まされた手法というより、食材の恵みや鷹揚さが際立つ味わい。シンプルなのに真似できない、そこがリグーリア料理の凄みだ。

» 第1回 くつろぎと美食が両立した「Le Cicale in Città」
» 第3回 クリエイティブな伝統料理「Il Marin」
» 第4回 旬の魚介の料理「Antica Osteria di Vico Palla」
» 第5回 ローマ法王御用達の絶品ペスト「Zeffirino」
» 第6回 リグーリア流の海鮮料理「I Tre Merli」

◆ Trattoria detta del Bruxaboschi
(トラットリア・デッタ・デル・ブルシャボスキ)

創業は何と1862年!
ジェノヴァ郊外を代表する老舗

左:“パンソッティのクルミソース和え”。パンソッティはリグーリアの伝統的パスタで、包まれる具はリコッタチーズと野草。10ユーロ
右:サッと炒めたヴィテッロ(仔牛)とポルチーニを、オレガノとニンニクで。14ユーロ

 1862年の創業から家族経営を守り続ける山間のレストラン。街からタクシーで約20分かかるが、リグーリア料理を山や森の食材で楽しめる一軒だ。

左:シェフのアーダさん(写真左)とホール長のマリアンジェラさん(写真右)。レシピの大半は二人のおばあちゃんの作。
右:“ピカッジェ”。10ユーロ

 “ピカッジェ(エプロンの紐の意)”と呼ばれる栗のパスタは近隣で採れた栗の実を粉に挽くところから自家製で、この地方の大定番ペスト・ジェノヴェーゼで味わう素朴な一皿。他にも野草やキノコ、ウサギなど、丁寧に作られた家庭料理の味が嬉しい。

テラスを備えた田舎家風。

Trattoria detta del Bruxaboschi
(トラットリア・デッタ・デル・ブルシャボスキ)

所在地 Via F. Mignone 8, Genova
電話番号 010-3450302
営業時間 12:30~15:00(ランチは予約のみ)、19:30~22:30
定休日 日曜ディナー、月曜
URL http://www.bruxaboschi.com/
※街からタクシーで片道20ユーロ強

Feature

ジェノヴァの美味を満喫する
絶品レストラン6選

取材・文=南陽一浩
撮影=橋本 篤
コーディネイト=高橋 恵