Magnificent View #860
東岳廟(中国)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 北京の中心地に立つ東岳廟は、山東省に聳える泰山の山の神を祀った道教の寺院。創建は元代の1319年だが、現在の建物は清代に改築されている。

 泰山の山の神は人間の寿命をつかさどり、また、人が亡くなるとその魂は泰山に帰るとも信じられている。東岳廟は長く人々の信仰を集めていたが、1949年に中華人民共和国が建国されると、建物は警察学校や政府機関として利用され、市民が拝観することはできなくなってしまった。ふたたび多くの人が参拝するようになったのは、一般開放された1998年以降のこと。

 旧正月の時期、人々が楽しみにしているのが、東岳廟で行なわれる「廟会」だ。これは初詣と縁日を合わせたような大きなイベント。境内には屋台がずらりと並び、昔ながらの人形劇や、伝統衣装をまとった楽団員による廟楽の演奏などで盛り上がる。

 廟内もご覧のように多くのランタンで飾られ、一帯はお祝いムード一色に。大都会の一角で行われる中国風情あふれる廟会とともに、北京は旧暦の新年を迎える。

Column

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2016.02.07(日)
文=芹澤和美