ブティックホテルのパスタは見事なアルデンテ!

Dパビリオン・インのラウンジはまさにリビングルーム。居心地のよさと趣味のよさで、インテリアの参考にもなります。

 リノベートしたホテルといえば、クラシックな邸宅を改装したブティックホテルというのもスリランカのトレンド。10室以下のこぢんまりとしたホテルだが、趣向を凝らしたところが多く、こちらもまた人気だ。

 クリケットのナショナルチームの前キャプテンというオーナーのDパビリオン・インもそんなブティックホテルのひとつ。1957年に建てられた家を改築。全5室ながら2つのダイニングを持つホテルとして一昨年オープンさせた。

ラウンジ外のテラス。アンティークの置物が飾られて、コロニアル&リッチな雰囲気を醸してる。

 この家は元々、スリランカで水力発電をはじめた有名なエンジニアの邸宅だった。ジェフリー・バワとも繋がりのあるミッド・センチュリーの建築事務所の設計で、バワにも通ずるシンプルで心地よい空間が演出されている。

 全ての客室がプールに面していて、朝食はプールサイドでいただくが基本。決して広々としているわけではないが、開放感のある構造は、高い天井と合わせて快適だ。

プールは肌と健康によく、環境にやさしい塩水プール。スリランカはけっこうエコの意識が高い。このプールサイドで朝食をいただく。
朝食はウエスタンスタイルとスリランカンスタイルの2種。スリランカンを選択する場合は、前日の夜までに注文すること。スプリングホッパーとカレーとオムレツ。もちろんフレッシュジュースと果物も。

 で、イチオシなのがダイニングのひとつ「ザ・クリケット・アームス」。インターナショナル・キュイジーヌだが、ここのパスタのアルデンテぶりは素晴らしい。イタリア本国と日本以外の国で、この固めの茹で加減にはなかなかお目にかかれないと思う出来栄えだ。ホテルの敷地から徒歩1分という場所にあり、カジュアルな雰囲気で気楽な食事が楽しめる。

ホテルは大通りから少し奥まったところにあるので、とても静か。こちらの「ザ・クリケット・アームス」は通りに面した便利なロケーションで、レストランとしても人気が高い。
左:店内は当然のことながら、クリケット選手のサイン入りユニフォームや道具類が飾られている。ちょっとした個室もあるので、よくパーティも開かれるようだ。
右:2階はバーになっている。

 もちろんホテル内の居心地もグッドで、友人宅の雰囲気を、静かに堪能できる感じ。スタッフも少数ながらみんな親切だし、客室内も清潔で、アメニティも充実している。

 唯一、おおっ! と思ったのは、高い天井に届くほどにつくりつけられたクローゼットで……。3メートル以上もあろうかという高いクローゼットに、服を掛けるのは不可能であったこと。これは設計ミスだよねぇと笑えるほど、他はいい感じのブティックホテルだ。

広々とした部屋は、ロマンティックながらシンプルなインテリアで甘すぎないのがイイ。
さすが邸宅は高いところに立つわけで、階段を上るとホテルと相成る。ちょっとバワの雰囲気のする柱が気になる。
ガラス戸をうまく使い、開放感を出したエントランス。レトロな空気が漂う。
エントランスを入るとサファリや大航海時代を彷彿させるインテリア。やはりクリケット選手がオーナーだから、ちょっと男性的。

D Pavilion Inn(Dパビリオン・イン)
所在地 82 Stratford Avenue, Colombo 6, Sri Lanka
電話番号 011-2-553-436

2016.02.02(火)
文・撮影=大沢さつき