歴史薫る建築物を撮影するコツ その3
「細部の細工に感動する!」

景福宮。中国式のデザインを取り入れた集玉斎(チボッチェ)の装飾はペパーミントグリーン色を基調としたもの。

 最後に、王宮の面白さは細部にあるということを伝えておきたい。

 王や王妃が暮らす建物は世界共通、細部にまでこだわって建てられている。王宮撮影はその細部の美しさを見つける楽しさがあるのだ。

景福宮の年季の入った錠前も素敵な被写体になる。黒光りを表現するためにやや半逆光で撮影。
昌徳宮の正殿の仁政殿は1908年に西洋式に改装され、電灯やガラスが取り入れられた。背景のデザインと調和している曲線のランプ。

 窓枠、扉の取手、天井画、柱の根元、瓦の上、王座のひじ掛け、壁に書かれた小さな龍など。遠くにある大きなものばかり見ていると近くにある大事なものを見落としがち。

 これは人生も同じことが言える。遠い未来の目標に向かうのも悪くないけど、夢見る未来も今現在のこの日からなのである。だから今日を大切に生きようね! と心に言い聞かせた2016年の幕開けでした。

左:景福宮の正殿の周りには十二支が置かれている。これは申。
右:景福宮の王の居間にあたる長安堂。玉座には金の龍のデザインが施されていた。
鳳凰と龍のデザインの慶熙宮の泰寧殿の瓦。
景福宮の集玉斎は高宗の図書館。よくみると一枚一枚の木片におちゃめな龍が描かれている。

 ソウルは街歩きも楽しい街なので、ソウルぶらぶらスナップ撮影術はまた後日お届けします!

 以上。次回は何のコツをお教えしようかと検討中。旅先の写真撮影でこんな時どうしたらいいの? など、取り上げてほしいテーマがあれば、CREA WEBの「掲載記事へのご意見・ご感想」フォームからご意見をお寄せください。

山口規子(やまぐち のりこ)
栃木県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業後、文藝春秋写真部を経て独立。現在は女性ファッション誌や旅行誌を中心に活躍中。透明感のある独特な画面構成に定評がある。『イスタンブールの男』で第2回東京国際写真ビエンナーレ入選、『路上の芸人たち』で第16回日本雑誌写真記者会賞受賞。著書にひとつのホテルが出来上がるまでを記録したドキュメンタリー『メイキング・オブ・ザ・ペニンシュラ東京』(文藝春秋)、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)や東京お台場に等身大ガンダムが出来上がるまでを撮影した『Real-G 1/1scale GUNDAM Photographs』(集英社)などがある。また『ハワイアン・レイメイキング しあわせの花飾り』『家庭で作るサルデーニャ料理』『他郷阿部家の暮らしとレシピ』など料理や暮らしに関する撮影書籍は多数。旅好き。猫好き。チョコレート好き。公益社団法人日本写真家協会会員。

Column

山口規子のMy Favorite Place 旅写真の楽しみ方

山口規子さんは、世界中を旅しながら、ジャンルを横断した素敵な写真を撮り続けるフォトグラファー。風景、人物、料理……、地球上のさまざまな場所でこれまで撮影してきた作品をサンプルとして使いながら、CREA WEB読者に旅写真のノウハウを分かりやすくお伝えします!

2016.01.24(日)
文・撮影=山口規子