寒さが堪える季節。ぬくぬくと温かい部屋にこもりがちだが季節には季節の景色があるように、冬には冬の楽しみ方がある。白銀の世界に漂う静寂、冷えた雪の匂い、幻想的な景色……。“冬旅”上手の星野リゾートを訪ね、冬の恵みを享受したい。

» 第1回 夜明けのスノーシュートレッキング「星のや軽井沢」
» 第2回 幻想的なアイスビレッジ「星野リゾート トマム」
» 第3回 日本初のグランピングリゾート「星のや富士」
» 第5回 雄大な阿蘇山の雪景色「星野リゾート 界 阿蘇」
» 第6回 里山の静かな温泉郷「星野リゾート 界 川治」
» 第7回 スノーリゾートで乗馬体験「リゾナーレ八ヶ岳」

◆ 星野リゾート 界 津軽

雪深き津軽の七雪を愛でながら
お湯三昧の冬籠り

青森の特産品りんごがぷかぷか。大浴場では21時30分からの1時間限定で内湯の大窓を開け放つ。

 日本の温泉文化を現代の感性に沿ってアレンジし、「和心地(わごこち)」をコンセプトにした日本初の温泉ブランド「界」。全国13カ所に展開する中でも、冬旅で向かうべきは青森県・津軽。かの地の大鰐温泉は古くから弘前の奥座敷として愛され、200年以上の歴史がある伝統工芸「津軽こぎん刺し」とコラボレートした客室は、旅情をいっそうかき立ててくれる。

伝統工芸「津軽こぎん刺し」を盛り込んだ「津軽こぎんの間」。

 あたり一面を覆いつくす雪景色も見応えがあるが、この宿最大の魅力は温泉だろう。大鰐温泉は湯治場として親しまれた地で、大浴場にある樹齢2000年の古代桧の湯殿では季節の移ろいに合わせた果実を浮かべる。無色透明だがとろみがあり、肌あたりは柔らか。桧の香りが立ちこめ、森林浴でもしているかのよう。湯けむりに包まれるひとときは、至福だ。

「大間の鮪づくし特別会席」。2016年2月29日まで(28,000円~)。

 日本海、太平洋、津軽海峡の豊かな漁場に囲まれた青森は、大間のマグロをはじめ海産物が豊富。お造り、ねぎま鍋、握り寿司ととことん味わい尽くす、鮪づくし会席はぜひとも堪能したい。

毎晩、ロビーで津軽三味線全国チャンピオンの渋谷幸平氏による演奏が行われる。

 日本人に生まれた喜びを、滞在中何度も反芻するに違いない。それほどの宿だ。

星野リゾート 界 津軽
所在地 青森県南津軽郡大鰐町大鰐字上牡丹森36-1
電話番号 050-3786-0099(界予約センター)
料金 1名23,000円~(2名1室、2食付き)
URL http://kai-tsugaru.jp/
※各種プランあり

Text=Mamiko Kume