『秘密の花園』×ぶどうパン

ひとつには濃い新鮮な牛乳がいっぱい入っていて、上にはクリームがかたまっていました。もうひとつの桶には、手作りの干しブドウの入った小型のパンが清潔な青と白のナプキンにくるんでありました--とても注意ぶかくくるんであるので、パンはまだ温かいのです。

『秘密の花園』より
フランシス・ホジソン・バーネット作・山内玲子訳(岩波少年文庫)

● ぶどうパン

「しぼりたての牛乳と手作りのパンって実はとても贅沢。子どもたちが喜ぶようにという気持ちがこもった料理だと思います。時代背景を考えて天然酵母にしましたが、ドライイーストで代用しても」

◆材料(6個分)
・強力粉:200g
・薄力粉:25g
・全粒粉:25g
・自然塩:6g
・はちみつ:15g
・水:150g
・天然酵母:125g(ドライイースト3gでも代用可)
・無塩バター:20g
・干しぶどう(無農薬ノーワックスのもの):50g

【天然酵母(作りやすい量)】
・無農薬りんご(季節によってレモンやいちごでも可):1個
・全粒粉 50g

◆作り方
【下準備:天然酵母を作る】
・酵母液の起こし方

(1) 無農薬のりんご1個を水でさっと洗って表面の汚れを落とし、皮つきのままざくざくと適当な大きさに切る。
(2) 煮沸消毒した容器にりんごを入れ、かぶるくらいの水とはちみつ大さじ1/2~1を入れる。
(3) 1日に一度容器を軽く振り、ふたを開けて空気に触れさせながら、常温で数日置く。シュッと勢いよく泡が出て、甘い香りやアルコール臭がすれば順調(カビが生えたり、酢のようなにおいがしたら雑菌が入っているのではじめからやり直し)。
(4) 泡があまり出てこなくなったら酵母液の完成。季節によって、レモンやいちごなどでも出来る。

天然酵母の起こし方
(1) 煮沸消毒したガラス瓶に酵母液50gと全粒粉50gを入れ、清潔なスプーンでざっくり混ぜ合わせる。蓋はせず、ラップをして常温におく。常温で量が2~3倍になるまで発酵させる。
(2) 冷蔵庫に入れ、6時間~一晩休ませる。
(3) 室温に戻して強力粉60gと水40ccを加え、量が2~3倍になるまで発酵させる。発酵したら冷蔵庫に入れ、6時間~一晩休ませる。
(4) (3)の工程をもう2回繰り返し、完成。

【準備】
(1) 強力粉、薄力粉、全粒粉をあわせてふるう。
(2) 水にはちみつをよく溶いておく。
(3) バターは室温に戻す。

【ぶどうパンを作る】
(1) ボウルに粉類、自然塩、6~7個にちぎった酵母を入れる。はちみつを溶いた水を加えて混ぜ、ひとまとまりになったらボウルにラップをかけてそのまま30分おく。
(2) ボウルの中でなめらかになるまでこね、バターを加えてさらにこねる。
(3) 生地とバターがよくなじんだら、干しぶどうを均一になるように混ぜ込み、きれいに丸めてボウルに入れラップをする。生地が2~3倍くらいの大きさになるまで発酵させる。
(4) 発酵後の生地を台の上に出して丸めなおし、20分休ませる。
(5) 生地を6等分して丸め、20分休ませる。生地が乾燥しないように固くしぼったぬれ布巾をかけておく。
(6) もう一度丸めなおし、オーブンシートを敷いた天板に並べる。大きなビニール袋の中に90℃以上の湯を入れた耐熱容器を3~4個入れ、その中に天板ごと生地を入れ、40分ほど発酵させる(1.5倍くらいの大きさになるまでが目安)。
(7) 強力粉(分量外)をふり、切り込みを入れ、200度のオーブンで18~20分焼く。

オカズデザイン
吉岡秀治・知子の料理とグラフィックデザインのチーム。著書に『オカズデザインのつくっておく、とっておく』(NHK出版)、『マリネ』(主婦と生活社)など多数。
URL http://okaz-design.jp/

2016.01.07(木)
photographs=Shinsaku Kato
styling=Mariko Nakazato

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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