姉妹ホテルのハマムで至福のひととき

もと宮殿という豪華な建物からは威厳すら感じられる。

 「フォーシーズンズ ホテル イスタンブール アット ザ ボスポラス」は、アジア大陸とヨーロッパ大陸、つまり、東洋と西洋が出会う場所、ボスポラス海峡沿いに、2008年にオープンした。

インテリアは新旧を融合させた、シックでラグジュアリーな雰囲気となっている。ほとんどの客室はボスポラス海峡ビューだ。
メインレストランの「アクア」では、ボスポラス海峡を望みながら極上のイタリア料理を楽しむことができる。

 もともとは19世紀に離宮として造られた宮殿。すぐ近くにある、総大理石の豪華絢爛なドルマバフチェ宮殿と同じ様式で造られている。広々としたロビーや、中庭の噴水など、宮殿らしさがあちらこちらに感じられるラグジュアリーなホテルだ。145室のほとんどの客室からはボスポラス海峡、そして、対岸のアジア大陸を望むことができる。

スパ内にある屋内プール。年間を通して泳ぐことができる。

 館内には本格的なスパやハマム、屋内プールがある。前述の通り、「フォーシーズンズ ホテル イスタンブール アット スルタンアフメット」に滞在していても、こちらの施設を自由に使うことができるのだ。冬になると屋外プールはクローズするが、スパ内にある屋内プールは年間を通して利用することができる。

 ということで、「フォーシーズンズ ホテル イスタンブール アット スルタンアフメット」からタクシーに乗って、「フォーシーズンズ ホテル イスタンブール アット ザ ボスポラス」まで、ハマムを楽しみに行くことにした。

 「渋滞がなければ20分くらい」という距離に、もう少し時間はかかったものの、ホテルに着いてからはスムースに。予約した時間に間に合うように着替えると、控え室までハマムレディが迎えに来てくれた。あらかじめお願いしておいたので、最初に写真を撮らせてもらってから、温かい大理石に敷かれたタオルの上に横になった。

石けん水と木綿の袋を使って器用に泡を作るハマムレディ。祖母も母もハマムレディで、彼女も16歳の頃から働いているという。

 まずは洗面器のような平たい容器で何度もお湯をかけてくれて肌を柔らかくしていく。それから慣れた手つきで、私の全身の古い角質をお掃除してくれた。それが終わるとまたお湯で流してから、木綿の大きな袋を取り出した。それを石けん水につけて空気を含ませ、搾るとモコモコの泡ができあがる。5~6回繰り返すと、私の全身が泡で包まれた。その泡を潤滑油にして軽くマッサージしてくれる、これが気持ちいいのなんのって!

 次にシャンプーをするかと聞かれたので、せっかくだからお願いした。シャンプーはイスに座ってから。丁寧に地肌を洗ってくれて、目に入らないようにそうっとお湯で流してくれる。

 全身洗ってもらって、バスローブにくるまったところで、「水、炭酸水、アイランのどれ?」と聞かれた。「えっ? アイラン?」と驚きつつ、せっかくなのでアイランをいただいた。たっぷり汗をかいた後は水を飲むべきなのだけど、大好きなアイランの誘惑には勝てなかった(笑)。

スパのリラクシングスペース。爆睡してしまいそうな心地よさ!

 ハマムを終えて外に出ると、日が傾いて空が赤くなってきた。アジア大陸の右奥に見えるのは、きっと旧市街に違いない、と思って眺めていると、中庭にいたホテルスタッフの方が教えてくださった。「あそこに見えるのが旧市街です。手前にトプカプ宮殿、そして、アヤソフィアとブルー・モスクは重なっています」と。

ハマムが終わったら、空が赤く染まっていた。「フォーシーズンズ・ボスポラス」から望む旧市街。中央に微かに見える白い建物がトプカプ宮殿だ。

 望遠レンズで除くと、トプカプ宮殿の建物が見えた。その後に見覚えのあるミナレットがシルエットになっていた。手前にはカモメが飛んでいて、なんと美しい光景だこと! 思わず、「こんな風景を毎日見ることができるなんて、アナタはラッキーね」と彼に言うと、「イエス」と、嬉しそうに微笑んだ。

Four Seasons Hotel Istanbul at the Bosphorus
(フォーシーズンズ ホテル イスタンブール アット ザ ボスポラス)

所在地 Çırağan Cad. No.28, 34349 Istanbul, Beşiktaş, Turkey
電話番号 0212-381-4000
URL http://www.fourseasons.com/bosphorus

2016.01.12(火)
文・撮影=たかせ藍沙