航空会社の本音は、ビジネスクラスにアップグレードしたくない

アップグレードされる客は航空会社によって優先順位がほぼ決められている。

 エコノミークラスの航空券を買ったのに、ビジネスクラスにアップグレードされたというラッキーな話を耳にすることがあります。しかし、アップグレードされたのは本当に「ラッキー」なだけだったのでしょうか。

(1) まずはマイルや追加料金の客が優先

 まず確認しておきたいのは、航空会社はできるだけエコノミークラスのお客さんをビジネスクラスにアップグレードしたくないのが大原則ということ。しかし、有料のビジネスクラス航空券購入者で席が埋まらない場合などに、貯めたマイレージを使ったり(日本航空は日本~欧州27,500マイル 外部リンク)、追加料金を支払ったりする(全日空は日本~欧米線片道5万円 外部リンク)ことで、アップグレードできることも。

ビジネスクラスに有料でアップグレードできることを伝えるANAのチェックインカウンターの看板(成田国際空港)。

 これらのお客さんは正規のビジネス旅客ほどではありませんが、航空会社に利益をもたらすので、最近特にこうしたアップグレードを重視する航空会社が増えています。そのほか、オプションタウン(外部リンク)というサイトで事前に申し込むことによって、スカンジナビア航空、ベトナム航空、エアアジアXなどでビジネスクラスへの有償アップグレードへの空席待ちを行うサービスがあります。

 それでもエコノミークラスがオーバーブッキングしている一方、ビジネスクラスに残席がある場合、航空会社はエコノミークラスの一部の客をビジネスクラスにアップグレードします。このように、航空会社の都合でアップグレードされることを「インボランタリーアップグレード」、略して「インボラアップグレード」、あるいは「オペレーショナルアップグレードなどと呼びます。

2016.01.11(月)
文=橋賀秀紀