今日の絶景

今日の絶景

非業の死を遂げた父への思いから
李氏朝鮮の王が造ろうとした幻の都

Magnificent View #831
華城(韓国)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 韓国の北西部にある古都、水原市にある華城は、18世紀末に造られた城塞遺跡。王の別邸を中心に、全長5.7キロの城郭が街を取り囲むようにして延びている。

 城塞を建設したのは、李氏朝鮮第22代国王である正祖。彼がここに壮大な城を築いた背景には、父、李愃への思いが込められている。李愃は、自身の父である第21代国王英祖に無実の罪を着せられたあげくに米櫃に閉じ込められ、28歳にして亡くなった悲劇の人物。

 正祖は即位後、父の墓を水原に移すと同時に、首都を漢陽(現在のソウル)から遷都するべく、巨大な城塞の建設を開始した。父が眠る場所に城を築くことで、その名誉も挽回すると考えたのだ。工事は、当時の知恵と技術を結集させ、70万人以上を動員して行われたという。

 1796年、城が完成。だが、その4年後に正祖は49歳という若さでこの世を去る。遷都の計画も頓挫し、首都にならなかった街はその後、衰退してしまった。

 1950年代の朝鮮戦争などで城は壊滅的な状態にあったが、1970年代、築城記録に忠実な復興作業が行なわれ、みごとに復元。200年前の姿をありのままに伝える遺跡として、現在は世界遺産にも登録されている。

2016.01.09(土)

文=芹澤和美

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