今月のテーマ「お願いDJ」

【MAN】
見初められたのは「声」だった。DJ成り上がりストーリー、開幕

 札幌のスープカレー屋のカリスマ店員(自称)、鼓田ミナレが25歳にして大失恋。飲み屋で泥酔して隣の客に絡み、「恋愛における地方性」をとうとうと語っていたら……その全てが、地方ラジオ局のオンエアに乗った。局に乗り込んでいくと、なぜだか彼女は、生放送でマイクパフォーマンスをするハメに。「叩きつけろ言葉を」。悪徳ディレクター・麻藤の甘い誘いにまんまと乗っかって、ラジオ番組のDJで成り上がりを目指す。

 男なし貯金なし住む家なし、前職もクビ。人生どん詰まりヒロインの唯一の武器は、「声」だ。とはいえ、簡単には番組を持たせてはもらえない。ディレクターから与えられる試練の数々に、一喜一憂&右往左往する姿が最高にチャーミング。

 「声」によって選ばれたシンデレラは、「声」によって職を得る、カネを得る。なるほど。では……王子様は? この設定でしか味わえない、ラブストーリーにも期待したい。

『波よ聞いてくれ』(既刊1巻) 沙村広明

木村拓哉主演で映画化が決定したハードボイルド時代劇、『無限の住人』の作者による最新連載。まさかのシンデレラストーリーにして、意外なところで人と人が繫がる、札幌の地方ラジオ局&スープカレー屋を中心にしたどたばた群像コメディ。月刊『アフタヌーン』連載中。
講談社 590円
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<次のページ> あきらめていた人生がラジオの「声」で動き出す

2016.01.05(火)
文=吉田大助

CREA 2016年1月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

冬にしたいふだんのこと、と映画

CREA 2016年1月号


冬にしたいふだんのこと、と映画

定価780円

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