豊かに実ったオリーブの実。

 オリーブオイル、日本でも家庭で使っている方は多くいらっしゃるかと思います。天然植物性でオレイン酸を多く含むので、血中コレステロールを減らす作用があるとされています。また、カルシウムや鉄など様々な栄養素を多く含んでいて、身体全体を健康な状態に導いてくれると言われています。そして、なにより女性に嬉しいのが、抗酸化作用があり、アンチエイジングにも効果が期待できるということ。実際に、イタリアの人はオリーブオイルを何にでもかけて、たっぷり食べるのですが、ご高齢の方もとにかく元気でよく食べる! そんな印象を持ちます。

 もちろん、元気の秘密はオリーブオイルだけではないと思いますが、現代社会で注目の、いえ、もはや定番の健康食品、オリーブオイル。その特産地であるイタリアから、その生産の現場をレポートします。

丁寧に大切に摘み取られるオリーブ

 オリーブの収穫は、その年の気候や地域によっても違いますが、だいたい11月上旬。イタリアでも有数のオリーブオイルの産地トスカーナでは、オリーブの実がちょうど熟したタイミングで行われます。このタイミングがまた、トスカーナのオリーブオイルをより個性的でおいしいものにしてくれます。

左:オリーブは丁寧に手で摘みとられます。
右:実を集めるためのネットを木の周りに敷いて収穫作業をします。

 収穫の仕方はなんと基本的に手作業。まず、オリーブの木の下にネットを敷き、たわわになったオリーブの実を熊手のようなもので掻き落としていきます。地方によっては、実が完全に熟して自然に落ちるまで待つところもありますが、この熟したばかりの若い実から取れるオイルは、独特の辛みと渋み、そしてえも言われぬ爽やかな香りがします。そしてこれが料理に使われたとき、極上の調味料、スパイスとなるのです。

左:収穫したばかりのオリーブの実。
右:収穫したオリーブはすぐに搾油所へ運ばれ、オリーブオイルにします。

 そして、集めたオリーブオイルはすぐさま搾油所へ。摘み取って一両日中には搾油したほうが良いとされ、オリーブの収穫時期には、収穫されたオリーブが一気に集まるため、搾油所は大忙しです。

文・撮影=藤原亮子