象サンも、鹿サンも、ワニサンもいます

アフリカ象に比べて小さく、気性のやさしいアジア象。セイロン象はそんなアジア象の一種。母子の群れは、愛情に満ちている感じ。(C)Gehan de Silva Wijeyeratne

 この保護区の目玉はスリランカ豹だが、他にも固有種のセイロン象などの人気者も多数。豹の登場のようにジープが一斉に集まることもないので、アフリカのサバンナを彷彿させる広々とした湿地帯を眺めているだけで、気分が和む。水辺にはジィーッと微動だにしないワニがあちこちにいて、ワイルドな雰囲気。近くに鳥がいたりするとハラハラしてしまう。ジープを走らせれば走らせるほど、いろいろな動物に会えるワンダーランドだ。

オスの象は基本、単独行動。シャイなのか、食事に夢中なのか、どうしても顔を出してくれなかった。
口どころか目を開けるのもマレではないかというくらいジーッとしているワニ。水中に入ったら、さすがのグッドスイマー。素早い動きであっという間に移動していた。

 2時間ほどして、国立公園内で唯一車から降りられるポイントへ。ここでホテルから持参のお弁当を開き、しばし朝食。海の見えるロケーションにこれまた和む。草原内を走っていても、彼方に海が見える風景が、実にスリランカ的。ケニアやボツワナだと見渡す限りのサバンナだろうが、この海が見える景色が過酷さを薄くしているような。園内は自然保護区なので、もちろん弱肉強食の世界なのだが、どこかノンビリとした空気が漂う。

せっかくのピーコックダンスの瞬間も、お目当てのメスはこちらとは反対側にいるようで、お尻しか見えない……。羽根裏を見るのも珍しいことなので、1枚パシャリ。
捕食される側? サファリに鹿というのもスリランカ的。ガゼルやインパラのように集団で行動して、身を守っているようだ。

 10時半。日がだんだん高くなってきたので、朝のサファリもお開きに近づく。動物とて暑い時間は動かぬわけで、ましてや夜行性の豹は完全お休み状態。これからサファリという寝坊組のジープとすれ違いながら、ホテルへの帰路につく。あっという間の4時間あまり。

 子供はもちろん大人も熱くなるサファリ体験に見事にハマる。日本からスリランカなら、アフリカに行くより断然容易。しかもインドの虎のように見つけること至難、というのでもないので、とてもおすすめ。ついでに紅茶を飲んで、アーユルヴェーダを受ければ完璧スリランカだ。

クジャクはあまりによく見かけるので、サファリも終盤になるとカメラすら向けないという扱いに。でも、やはりキレイだ。
こちら超レアなナマケグマ。滅多に遭遇できない希少種だが、シロアリが好物なので、雨上がりの翌日、柔らかく崩れやすくなったアリ塚のあるところで見かけることが多いとか。残念ながら、今回は遭遇できなかった。

2015.12.08(火)
文・撮影=大沢さつき