Magnificent View #786
エルツ城(ドイツ)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 深い森の中にひっそりと佇む、メルヘンチックな古城。フランクフルトの西、ライン川の支流であるエルツ川沿いに立つこの城は、ノイシュヴァンシュタイン城、ホーエンツォレルン城と並び、「ドイツ三大美城」と呼ばれている。

 築城は12世紀半ば。ドイツに残る多くの城が大幅な修復を施しているなか、エルツ城は一度も侵略や攻撃を受けたことがなく、創建当時の面影を色濃く残している。

 渓谷に建てられているため敷地は狭く、築城以来500年にわたって上へ上へと増築した結果、城は7階建て、部屋数は100を超える高層の城となった。

 800年以上続いている城主の家系は、当代で34代目。13世紀に三兄弟が分家し、最盛期はそれぞれの家族が共同で管理をしていたが、現在はそのうちの一子孫が継いでいる。

 ドイツを代表する美しい城でありながら、アクセスが悪いためか、観光客で混み合うこともないエルツ城。ここなら、ゆっくりと名城の雰囲気を楽しむことができそうだ。

Column

今日の絶景

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2015.11.25(水)
文=芹澤和美