温泉街の魅力を引き出す撮影のコツ その2
「宿には絵になるポイントがいっぱい!」

但馬屋さんの部屋にある障子。丸くくり抜かれたデザインは古い木枠の素材と見事に調和している。

 温泉街に来たら泊まる宿は気になるところ。クタクタに疲れて宿にチェックインするともう今日の撮影は終わりと思ってしまう人が多いが、温泉宿は絵になる場所がたくさんあるから、もうひと踏ん張り。

但馬屋さんの全12室はすべて異なるデザイン。若い人たちに人気の宿である。

 部屋の撮り方で注意すべきことは、天井や柱などの直線のラインである。水平垂直を綺麗にそろえただけで安定した写真になる。

 また、温泉宿の室内は暗いので手持ちの場合はISO感度を1600~3200まで上げ、三脚使用の場合は400で撮影してみよう。フラッシュ禁止モードで宿の照明だけで撮ると、その宿のセンスがわかるから面白いのだ。

左:三木屋さんには文豪志賀直哉が宿泊していた部屋が今も実在している。ここで読む「城の崎にて」は感慨深いこと間違いなし!
右:カニの季節は毎年11月初旬から始まる。炭火を写したいときはシャッター速度を遅くしてフラッシュ禁止。

 次に料理撮影。宿の料理は先付八寸からお造り、焼き物、揚げ物、蒸し物など、たくさん出てくるので、その都度撮影するのが好ましい。小鉢がいっきに出てきた場合はひとつの料理にピントを定め、絞り値をF2.8~4程度にして撮ると、ピントを合わせたところ以外はふんわりとぼやけて、説明写真にならず雰囲気が出る。

 もしも部屋出しの食事なら他人に迷惑をかけないので思う存分撮影し、食事処での撮影は周りの人の迷惑にならないよう気配りが大事である。

左:歩き疲れたらCafe&Bar 3rd(カフェ&バーサード)でフレンチトーストと、丹波篠山で作った炭で炭火焙煎したコーヒーがオススメ! ふわふわのフレンチトーストはおかわりしたくなるほど美味しい。
右:宿それぞれの名前がかかれた下駄がずらっと並ぶ外湯「一の湯」。帰る時、番頭さんは間違わずにその人が履いて来た下駄をさっと出すから不思議だ。

2015.11.25(水)
文・撮影=山口規子