尼さん日本画家 中田文花と遊ぶ古都風物詩

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奈良の師走を彩る若宮さまの神遊び
平安からの伝統がある「春日若宮おん祭」

12月17日、春日大社参道のお旅所にお出ましになる若宮さま

お旅所祭 巫女の神楽。

 盆地である奈良は、冬の冷え込みが厳しいことで知られています。寒さがひとしお身に沁みる12月の深夜、うっそうと繁る春日の森の参道に立っていると、闇の向こうから「おーーー、おーーー」と低い声をあげながら行列が近づいてきます。

 その時の感覚を、どう例えればいいのでしょう。

「神様は……ほんまにいてはるんや……!!」

 この世のものとは思えない迫力に、誰もが畏怖の念を抱くでしょう。

 例えば、魑魅魍魎、百鬼夜行がわらわらと行き過ぎる絵をご覧になったことがあるかもしれませんが、実際に経験すると、これに似た感じではないでしょうか。

 しかし、ここは神聖な春日大社。行列の先払いをする警蹕(けいひつ)の声と榊の枝に幾重にも囲まれてお通りになるのは、怖い悪霊や鬼ではなく、春日若宮神社の神様です。なぜ、神様はこんな夜中に、森のなかをお通りになるのでしょうか。

 今回は、奈良の師走を彩る「春日若宮おん祭」についてご案内します。

 「春日若宮おん祭」は、春日大社の摂社である若宮神社の例祭です。春日若宮というのは「春日大社の神様の御子神様」のことで、本殿を南へすぐのところに若宮神社があります。

 この若宮さまに食事と芸能の数々でお楽しみいただき、五穀豊穣を願うお祭りで、平安末期からの伝統があり、国の重要無形民俗文化財に指定されています。

 祭礼は12月15日~18日、その中の12月17日の24時間だけ若宮さまが一之鳥居近くにあるお旅所にお出ましになります。それでは、若宮さまの一日を追ってみましょう。

※12月17日前後の諸神事については公式パンフレットやチラシ、または春日大社ホームページ(外部サイト)をご覧ください。

12月17日の主要神事
0:00~ 遷幸の儀【神秘の行列】(若宮神社~お旅所)
1:00~ 暁祭【社伝の神楽】(お旅所)
12:00~ お渡り式【歴史絵巻の行列】(県庁前~JR奈良駅~三条通~一之鳥居~お旅所)
14:30~ お旅所祭【厳粛な神事、芸能の数々】(お旅所)
23:00~ 還幸の儀【神秘の行列】(お旅所~若宮神社)

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2015.11.28(土)

文・撮影=中田文花

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