私は全力で「20日熟成・豚肩ロース」を推します!

4,000円のランチ、8,000円~のディナーでリクエストできるメインディッシュ「20日熟成・豚肩ロース」。4種の豆、粒マスタードとシードルビネガー、玉ネギフライが脇を固める。

 11月。京都はいよいよ根菜の季節です。かぶらに大根、京人参……。野趣ある京野菜の力が、約4品のアミューズ&前菜に溢れています。プリモピアットは、手打ちパスタを予約時にリクエストして。私が感激したのは「イカ墨のパスタ」。「牡蛎と春菊のリゾット」などと組み合わせて、2品ほど供されます。魚料理は、若狭や舞鶴など日本海の幸を。

 そして肉料理。私は全力で「20日熟成・豚肩ロース」を推します! 高島シェフが惚れ、遠く阿蘇から取り寄せる自然豚、ドライエイジング20日を経たロース肉。ゲスト着席の1時間30分前から、スチームや炭火などを駆使し、4段階の温度帯で火入れ。むっちりと艶めかしき食感、噛みしめると一拍おいて、覚醒するかのごとく豚肉の野性味がその表情を豊かにしていきます。

 「右側だけに焦げ目を付けてるんですよ」。食べ進めると、熟成香がポンッと上がってきたり、ロースト香が猛烈に立ち上ったり。焼きナスの皮と燻製塩を合わせた黒のパウダーをちょいと付けて口に運べば、今度は愉快な焦げ味(これが旨い!!)が襲ってきます。

 高島シェフが目指すのは「今、この場所で、ここでしか作れない料理」。京都に来たから、京都らしい空間で、地の食材と向き合おう。ただそれを実践しているだけ。自然体なシェフの肩の凝らないイタリアンは、モダンなクリエーションと圧倒的な旨みで、ずしんと記憶に残るはずです。

イル チプレッソ
所在地 京都市東山区祇園町南側566
電話番号 075-533-7071
営業時間 11:30~14:00(L.O.)、18:00~21:30(L.O.)
定休日 水曜
予算 昼 4,000円~、夜 8,000円~

中本由美子(なかもとゆみこ)
あまから手帖 編集長。食雑誌を編み続けて23年。「あまから手帖」4代目編集長となり、6年目。“あまから”両党といいたいが、スイーツは苦手、アルコールは何でもござれ。晩夏から京都通いして編み上げた11月号「京都 気になる51皿」が発売中。「和食から中華、ビストロ、ラーメン、和洋菓子まで。連日食べ歩いて選んだ料理ばかりです!」。