群馬っ子も憧れる鹿火屋フルコース

 テンションが一気に上がったので、どんどん食べちゃおう! ということでざーっと注文。まず登場したのが「みそおでん」。群馬の名産、こんにゃくを食べておこうと考えてのチョイスである。しっかりと甘い田楽みそをまとったこんにゃく。群馬の人はこういう味で育ったのね! という群馬らしいひと品。

「みそおでん」。身をくねらせて串に刺さっている。

 そして焼きとうもろこし! 炭火で香ばしく焼かれ、ちょっと醤油が香る古式ゆかしき焼きとうもろこしである。炭火ならではの香ばしさにうっとり。もちろん1本丸かじりで、ボリボリと平らげる。

もう来年の夏まで食べられない焼きとうもろこし!

 平らげたころに「できましたよ~」と呼ばれて取りに行くのは、いよいよいも串! あえてあまり調べ上げずに挑んだ甲斐があって、新鮮なよろこびがあった。芋は里芋。ゆでた芋を立派な串に刺し、炭火で焼いて、甘いみそをまとったもの。こ、これはおいしい! 里芋のねっとりとした滋味、そしておでんでも味わった甘いみそ。とろけるような味わいに、群馬の子供たちが「おやつにいも串食べたい」と言うのがよくわかる。小ぶりの芋なので、中までねっとり。お酒のあてにもなりそうだ。

 調子にのって締めのデザートもいただいた。もちもちのくずもちだ。きなこと蜜がたっぷりの、三角くず餅。すっきりとしたタイプで、するすると食べてしまった。お茶は野草茶っぽいお茶がセルフサービスで飲めるのだが、これがまたくず餅によく合う。

締めのくず餅。もちろん、くず餅だけでも入れるお店。

 水沢うどんにほど近い距離で、ランチにうどんも食べようかと思っていたが、ここでフルコースをいただいてしまったためお腹いっぱい。しかし、一点の悔いもありません。これからの季節はとうもろこしはもうないけれど、いも串も風情も秋にはひと際楽しめるはず。伊香保温泉にも近い、素敵なお茶スポットです。

臼と杵発見!! まさか冬には餅が出るのか……再訪を誓う。

鹿火屋
所在地 群馬県北群馬郡吉岡町上野田1329-127
電話番号 0279-54-3920
[2015年9月末来訪]

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2015.11.18(水)
文・撮影=北條芽以