アウトドアブランドL.L.Beanの故郷を訪ねて

ユーザーから送られてきたブーツ。これは79年前のものだとか。

 自然に恵まれたメイン州は、登山やトレイルハイク、湖や川での釣りやカヌーなどアウトドアアクティビティ天国だ。そんなメイン州で誕生したアウトドアブランドがL.L.Bean (エル・エル・ビーン)だ。

ニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーター選手がワールドシリーズに出場した年に、ジーター選手のために作られた特製ブーツ。

 アイコンであり1912年に創業者レオン・レオンウッド・ビーン(Leon Leonwood Bean)によって作られたビーン・ブーツが、今またヘビーデューティーなお洒落としてアメリカの若者たちの間でリバイバルしている。チェーン・パターンの溝が入ったゴム製のボトムとフルグレイン・レザー(動物の革の表皮のすぐ下の層を残した皮革)が一体となって、雨や雪でもへっちゃらなブーツだ。

創業者レオン・レオンウッド・ビーンの写真と初期の広告。

 同社は、創業者のL・L・ビーンが幼少の頃から好きだったハンティングやフィッシングの時に足が濡れるのが嫌で、作業用のゴム靴にレザー・トップを縫い付けてブーツを作ったところからスタートした。ところが、最初に作った100足は、縫った所が外れるなどの不具合で90足が返品になってしまう。そこで、この90足は代金をすべて払い戻し、良質なゴムを使用してしっかりしたものに改良し、そのカタログを再発送して成功を収めたところからレジェンドが始まった。そしてL.L.Beanは、条件なしに返品を受けつけるという創業者のポリシーを今もなお貫いている。

建物をL・L・ビーンの1912年当時の家に復元して博物館にする計画だそう。

 L.L.Beanの本社オフィスには、ユーザーがメンテナンスをして使い続けたブーツを、履かなくなってもどうしても捨てられずに送り返してきてくれたものや、過去のカタログなど様々なL.L.Beanの歴史を垣間見ることができる品々が保存されている。

フラッグシップショップの外には、ブランドのアイコンである巨大なビーン・ブーツが。

 このL.L.Beanの本社のあるフリーポートは、いろんなブランドが揃うショッピングタウンだが、ここにあるL.L.Beanのショップには、キャンパスと呼ばれる広大な敷地に様々なアウトドア用品のほかに、ホーム用品などの売場もあり、なんと365日、24時間営業だ。

ホーム用品を売る棟の入り口でロブスター発見。

L.L.Bean in Freeport(L・L・ビーン フリーポート店)
所在地 95 Main Street Freeport, ME 04032
電話番号 +1-877-755-2326
URL http://www.llbean.com/llb/shop/1000001704?page=stores-freeport

L.L.Beanのアウトドアスクールは、送迎もカヤックのレンタルも、おまかせ。

 L.L.Beanは、フライフィッシングやパドルボード、カヤックなどが体験できるアウトドアスクールも経営している。事前に予約しておけば、ミニバンで、アーカディア国立公園内の湖まで連れて行ってくれる。一緒にカヤックツアーに参加した家族は、ニューヨークからここまで車で来たそう。パドルの扱いを教えてもらってすぐ湖へ。静かな湖面をカヤックは滑るように進んで、爽快だ。

ミニバンに乗り込めばOK。

2015.10.27(火)
文・撮影=小野アムスデン道子