ボロブドゥール遺跡だけじゃない、ジャワ島建築の最高傑作!

横から見るとすらりとしたシルエットをしているプランバナン寺院。内苑を取り巻く中苑には、おびただしいほどの数の石が、修復されて小祠堂として甦る日を待っている。

 ジョグジャカルタには、ボロブドゥール遺跡以外にも数多くの寺院、寺院群が点在している。最終日、空港に行く途中に素晴らしい寺院遺跡があるという、またも支配人のイアンさんの提案で、少し早く「アマンジウォ」を出て、プランバナン遺跡群に立ち寄ることにした。長年インドネシア国内のアマンで働き、奥様もインドネシア人で、インドネシアのよさを知り尽くした彼の提案は、いつもうれしい驚きをくれる。

 プランバナン遺跡公園として観光名所になっているのは、プランバナン寺院を中心とした寺院群。駐車場に着いたとき、ドライバーさんに、1時間で戻ってくるようにと言われた。「1時間ですか、かなり駆け足になりますけど大丈夫」とガイドさん。もちろん、このような遺跡は時間をかけたいところではあるけれど、メインのプランバナン寺院だけを見に行くことにした。

プランバナン寺院群の中心、シヴァ堂。建物のいたるところに精巧な装飾がなされている。

 プランバナン寺院は、1991年、ボロブドゥール遺跡とともにユネスコの世界遺産に登録された、ヒンドゥー寺院で、ジャワ建築の最高傑作のひとつだ。マタラム王国の王によって、9世紀終わりから10世紀にかけて建立されたといわれている寺院群だ。「遺跡群」というだけあって、プランバナンには、240もの寺院があった。

シヴァ堂の回廊に施されたレリーフのひとつ。石に彫られたとは思えないほど滑らかな動きを捉えていて、今にも動き出しそうだ。

 「あった」というのは、16世紀の大地震ですべてが倒壊してしまったからだという。そんなガイドさんの説明に、今年のネパールの大地震の際の、寺院が崩れ落ちる映像が脳裏に甦った。現在の姿は、1930年から始まった修復作業の賜物なのだ。その修復は今も続いていて、観光客が行き交う通路の傍らには、気の遠くなるような地道な作業をしている方達の姿があった。

 プランバナン遺跡の中心には110メートル四方の内苑があり、シヴァ神を祀るシヴァ堂を中心として、ヴィシュヌ堂、ブラフマー堂という3つの堂と、それぞれに向かい合う3つの小堂がある。それを取り巻く222メートル四方の中苑には、200以上の小祠堂があったが、現在は倒壊したままだ。

左:シヴァ堂の東正面の入り口を入るとシヴァ神像が置かれている。祈りを捧げる人が絶えない。
右:シヴァ神の息子で、人間の身体にゾウの頭をもつガネーシャ神の像。シヴァ堂の西の入り口の中にある。

 シヴァ堂は、どのようにして修復したのか想像もつかないほど、美しいレリーフや彫刻が施された複雑な造りをしている。中に入るとシヴァ神像があり、お祈りをする人の姿が絶えない。堂の中だけでなく、レリーフにも様々なヒンドゥー教の神様が彫られていて、それらの一部がつるつるに光っていたりする。ご利益があるということで訪れる人が触っていくのだとか。ということで、私もいくつかに触らせていただいた。

 ご利益があったかどうかは、また別の機会に(笑)。

たかせ藍沙 (たかせ あいしゃ)
トラベル&スパジャーナリスト。渡航130回超・60カ国超、海外スパ取材230軒超、ダイビング歴800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。著書は『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、薔薇でキレイになるためのMOOK『LOVE! ROSE』(宝島社)など。楽園写真家・三好和義氏と共著の『死ぬまでに絶対行きたい世界の楽園リゾート』(PHP研究所)が4刷、台湾版も好評につき、中国版出版制作中! 第2弾『地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに… 青の楽園へ』好評につき、こちらも中国版出版決定!
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Column

たかせ藍沙のファーストクラスで世界一周

ファーストクラスで世界一周だなんて手の届かぬ高嶺の花かと思いきや、実はちょっとの工夫でリーズナブルに実現することができるんです。アマゾン川、マチュピチュ、ウユニ塩湖、ナミブ砂漠、南アフリカ、オーストラリア、香港、インドネシア……。トラベルライターのたかせ藍沙さんが体験したとっておきの旅を、ここに公開!

2015.09.25(金)
文・撮影=たかせ藍沙