Magnificent View #703
楽山大仏(中国)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 中国の四川省にある楽山大仏は、弥勒菩薩をかたどって岩に彫られた巨大な石仏。高さは71メートルで、東大寺の大仏の5倍にもおよぶ。

 完成は唐代の803年。頻繁に起きていた川の洪水を治めようと、海通という僧が建立を発起。海通が亡くなった後も遺志は引き継がれ、90年もの歳月をかけて完成した。当時、こうした大仏のほとんどが国家の命で造られていたが、楽山大仏は民衆の力だけで完成させたという。

 1200年も昔に造られた巨大な大仏が現存している理由は、その精密な設計にある。仏像の髪の毛にあたる部分は排水路の役目を果たし、雨が降ると頭から耳を通って川に流れていくしくみだ。また、肩や胸の後ろにも排水溝が設けられ、汚れや腐蝕を防いでいる。

 人々の思いが託された巨大な大仏は今も、やさしく川の流れを見つめている。

Column

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2015.09.03(木)
文=芹澤和美